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中国の今年上半期の新規石炭火力発電事業の承認、前年比79%減に。ただ、地方都市には依然、潜在的な建設需要強く、建設承認後、系統連携待ちの事業が104.8GWも滞留(RIEF)

2021-08-26 15:33:48

China001キャプチャ

 

  中国で今年上半期に各省が新規に建設を承認した石炭火力発電事業は24基で総発電量は5.2GWだったことが環境NGOの調査でわかった。発電量では前年比79%減と大きく下がった。習近平国家主席は4月の米国主催の気候リーダーズサミットで「石炭燃料発電事業の厳格な抑制」を宣言しており、中央政府の政策が反映したとの見方も出ている。ただ、各省内の地方都市では引き続き建設需要が強く、今上半期の建設抑制ペースが継続するかどうかは不明だ。

 

 (中国・内モンゴル地区の石炭火力発電所=Climate Home Newsから転載)

 

 調査を公表したのはグリーンピース東アジア(北京拠点)。発電事業会社は、各省政府の「発展改革委員会(DRCs)」の建設承認を得ると、中央政府から助成金等の優遇措置を得ることができる。上半期に承認された24基のうち、3基は安徽省や陝西省での大規模石炭火力発電プロジェクトで、3基合計で3.3GW。上半期全体の承認事業の64.0%を占める。他の21基は重慶や湖北省、福建省等での熱電併用発電(CHP)が中心。

 

 グリーンピースのプロジェクトリーダーのLi Danqing氏は「石炭火力の先行は依然、いくつかのシグナルが混在している。習近平主席が気候サミットで発言して以来、各省政府は新規の石炭火力発電所建設計画の承認を遅らせている。しかし、地方都市等では引き続き、建設意欲が強い状態が続いている」と指摘している。

 

 新規建設承認とは別に、すでに承認を得ているが、系統接続待ちの状態の事業が104.8GW分滞留しているという。今上半期の建設承認分の約20倍にも相当する。これらが系統接続し、発電を稼働すると、中国のCO2排出量の上昇を抑制するのは困難になるとみられる。

 

 習近平主席は4月の気候サミットで、「私は中国が2030年までの炭素排出量ピークアウト実現、2060年までのカーボンニュートラル実現を目指すと正式に宣言した。約束したピークアウトからカーボンニュートラル実現までの時間は先進国よりずっと短く、厳しく苦しい努力を必要とする。(しかし)石炭燃料発電事業を厳しく抑制し、第14次5カ年計画期(2021~25年)は石炭消費の伸びを厳しく抑制し、第15次5カ年計画期(2026~30年)に徐々に減らす」と言明している。

 

 一方で、温暖化の進行によると思われる熱波や異常乾燥等は中国の各地域でも広がっており、各家庭や工場等での電力消費需要は高まっている。広州市や西安等では電力供給不足の懸念も出ているという。特に陝西、広東、甘粛、貴州等の各省は、石炭依存のウエイトが高く、脱石炭化は容易ではないとみられている。

 

 グリーンピースのLi氏は、「陝西省等のような石炭依存地域を低炭素政策に転じさせるためには、中央政府は石炭火力発電の建設による弊害を科学的に説明し、省政府は代替策となる再生可能エネルギー発電等の投資選択のメリットを示すべきだ。たとえば、山東省はかつては石炭火力に依存した省だったが、今年上半期には新規の石炭火力事業はゼロになっている」と、政府の政策転換実践の必要性を強調している。

https://www.greenpeace.org/eastasia/blog/6815/24-new-coal-fired-power-projects-approved-in-china-in-first-half-of-2021-greenpeace/

http://www.china-embassy.or.jp/jpn/zgyw/t1870954.htm