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ハリケーンアイダ、ニューオーリンズからニューヨークへ、洪水、濁流、竜巻被害をもたらす。ニューヨークの地下鉄も水没。バイデン大統領「気候危機」を警鐘(RIEF)

2021-09-03 23:42:29

Ida001キャプチャ

 

 米国を襲ったカテゴリー4の強烈なハリケーンアイダ(Ida)は、熱帯低気圧に勢力を弱めたものの、ニューヨークをはじめとする米北東部各地で大規模な洪水を引き起こすなど、被害を拡大している。2日までに41人が死亡した(その後、3日までに60人以上に増加)。バイデン大統領は「気候危機が到来した」と危機感をにじませている。2005年のハリケーンカトリーナ以来の自然災害の猛威で、米国の経済社会は気候リスクの顕在化に直面している。

 

 (写真は、ニューヨークの地下鉄の通路に流れ込んだ濁流)

 

 アイダは8月29日に南部ルイジアナ州に上陸した。最大風速が時速240kmという破格のハリケーンにより、同州では送電塔が倒れ、130万世帯が数日間に及ぶ停電状態にある。同州のニューオリンズは一部で水深2mもの冠水状態となり、巨大な水上都市に変わった、と米メディアは伝えている。

 

 停電はその後、一部で段階的に復旧しているものの、米政府は44万1000人の人々が、今後1カ月は電気と水のない生活を余儀なくされる可能性を述べている。ニューオリンズは停電の長期化による治安悪化を懸念し、午後8時から午前6時までの通行禁止令が出された。

 

ニューヨークの高速の高架橋で水没した車
ニューヨークの高速道路の高架橋で水没した車

 

 一部地域では断水も起きている。生活用水だけでなく飲用水まで不足した状況だ。アイダが北東部に移動した後に続く猛暑で、今度は、飲用水汚染の懸念が拡大している。同州の17の自治体は住民らに飲用水汚染に備え水を沸かして飲むよう注意報を発令した。

 米内務省安全環境執行局(BSEE)によると、ルイジアナ州沿岸がアイダの襲来を受けた影響で、メキシコ湾沿いの石油・ガス生産設備が停電や水没等の被害を受け、日量140万バレル超の石油生産と、同18億8000万立方フィートの天然ガス生産の停止が続いている。停止設備は同地の原油生産全体の80%、天然ガスは83%に相当する。操業再開までに2週間かかる見通しだ。

 アイダの進路となったメリーランド州、ペンシルベニア州等では、強い竜巻と豪雨の被害が広がった。ニューヨーク州とニュージャージー州でも非常事態を宣言した。ニューヨーク市では市内の地下鉄は大量の水が濁流となって流れ込み、全面的に停止した。ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は1日夜、「市全域での記録的豪雨、猛烈な洪水、道路での危険な状況が発生しており、われわれは歴史的気象事象に見舞われている」と宣言した。

 

 米国立気象局(NWS)はニューヨーク市に史上初の鉄砲水警報を出して住民に高台への避難を呼び掛けた。ニュージャージー州では少なくとも23人が死亡。ニューヨーク市内でも12人が死亡などの発表が相次いでいる。

 

 バイデン大統領は2日、ホワイトハウスで演説し、西部カリフォルニア州で熱波と高温によって森林火災が継続、拡大している問題と合わせて、「気候危機が到来した」と述べた。そのうえで、被害を受けた地域に対して、支援を急ぐよう関係機関に指示した。大統領は3日には、アイダの直撃を受けたルイジアナ州を訪問し、被害状況を直接確認するとしている。

https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2021/09/02/president-joseph-r-biden-jr-approves-new-york-emergency-declaration-2/

https://www.bbc.com/japanese/video-58430646