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トルコがパリ協定批准。残りの未批准国はイラン、イラク等5カ国。トルコは先進国として協定に署名したが、批准では「我々は途上国」と主張。気候対策資金の供給を期待か(RIEF)

2021-10-09 00:26:36

Turkeyキャプチャ

 

  トルコがパリ協定に批准した。同協定には197カ国が署名しているが、これまで6か国が未批准だった。トルコ議会は5日、協定を批准し、これで未批准国はイラン、イラク等の5カ国になった。トルコ政府は議会での批准に先駆け、国別対策貢献(NDC)として、2053年までにネットゼロを達成するとの目標を設定した。

 

 (写真は、首都アンカラのトルコ議会=ロイターより)

 

 トルコの環境・都市大臣のMurat Kurum氏は「トルコ議会は全一致でパリ協定の批准を承認した。この決定は2053年ネットゼロの達成に資する」と説明した。残りの未批准国はイラン、イラクのほか、エリトリア、リビア、イエメンの各国。

 

 トルコのこの時点でのパリ協定批准は、10月末から英国で開く国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前提にしていることは明らか。協定に批准してCOP26の議論に加わることで、気候対策資金を海外から取り入れたい意思を国際社会に示したといえる。

 

 トルコ議会は今回の批准について、発展途上国としての批准と位置付けている。同国は協定上では先進国としての立場(Annex1)で署名していたが、トルコ政府はこれまで、「われわれは温室効果ガスの排出量は極めて少ない」と主張して、途上国としての扱いを求めて、批准を遅らせてきた。

 

 しかし、トルコはG20のメンバーでもある。今回のトルコ議会の批准は、同国の「途上国扱い」の主張が国際的に受け入れられたわけではなく、同国が一方的に「途上国宣言」した格好だ。批准時の議会声明では「(協定批准は)国内の経済や社会的発展に影響が及ぼない範囲で温暖化対策を実施する」との注釈もついているという。

 

 気候変動枠組み条約交渉では、2009年のCOP15(コペンハーゲン)以来、途上国の気候対策を促進するため、先進国の義務として、年間1000億㌦を支援する取り決めを策定。国連の緑の気候基金(GCF)等が途上国の気候対策プロジェクトへの投融資を実施している。トルコとしては、新たな温暖化対策資金を求めて、批准に踏み切ったともいえる。

 

 ただ、実際に、GCFのファイナンス対象にトルコの気候対策事業が選定されるかどうかは不明。

 

https://www2.tbmm.gov.tr/d27/2/2-3853.pdf