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スイス、パリ協定に基づく温室効果ガス削減国際協力で、ジョージアとも提携。ペルー等に次いで4カ国目。支援先国との削減クレジットのダブルカウント防止策を明確化(RIEF)

2021-10-20 17:04:49

Swiss002キャプチャ

 

 スイスはパリ協定6条に基づく温室効果ガス(GHG)削減の国際協力として、ジョージアと「カーボン・オフセット協定」を締結した。同協定は日本が途上国で展開する二国間クレジット(JCM)と似ているが、排出削減量のダブルカウント(二重計上)を排したルール設計になっているのが特徴。すでにペルー、ガーナ、セネガルで実施しており、ジョージアは4カ国目。

 

 スイスは2030年までに50%の排出量削減目標を掲げており、このうち4分の1は途上国等での削減分を国際協力として取り込む計画。パリ協定6条では、先進国が途上国でGHG削減事業を実施し、その事業からの削減分を自国の削減量に加える市場メカニズムを定めている。https://rief-jp.org/ct8/107826

 

 日本のJCMも同条項を根拠とするが、パリ協定では途上国にも削減目標が課されるので、国際協力に際して、事業支援をする先進国と事業を受け入れる途上国との間で削減量のダブルカウントを排したルール設計等が必要だ。JCMの場合、日本が支援する事業からの削減クレジットは、両国間で半分ずつ配分する仕組み。ただ、これだと同じ事業が両国で登録され、ダブルカウント議論を解消しきれない。

 

 スイスの方式は、ダブルカウント防止のために、両国が対象事業について、国が認証する機関での認証・評価を実施するプロセスを制定している。今回の場合、ジョージアが削減成果を自国の国が定める貢献(NDC)において必要な調整を実施する前提になっている。

 

 今回のジョージアでの対象事業は、国内の建物のエネルギー効率化事業を実施する「ジョージア・エネルギー効率化スキーム(GEES)」への取り組みだ。第一段階としては、既築建物の屋根や壁等の断熱化や太陽光発電設備の設置等を、学校や病院、ホテル等の大規模な民間設備あるいは公的設備に導入する。第二段階は、一般家庭の省エネ化を進める。

 

 クレジットを得るスイスは、それらを国内の地方自治体や民間企業に移管するオプションも認められている。

 

 日本はJCMで2030年までに1億㌧の削減クレジットを途上国から取得する方針で、改定NDCにも盛り込んだ。ただ、それだけの大規模な事業を途上国と共同で推進できるかという疑問に加え、スイスのような厳格なダブルカウント防止措置をとれるかどうかが課題だ。https://rief-jp.org/ct8/119107?ctid=71

 

https://www.klik.ch/news/publications/georgia-and-switzerland-sign-climate-protection-agreement