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国連気候変動枠組み条約事務局(UNFCCC)、アフガニスタンの環境専門家のCOP26参加を「拒否(?)」。タリバン政権から逃れた環境専門家が立ち往生(各紙)

2021-10-31 16:46:57

Afghanistanキャプチャ

   31日から英国で開催する国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に参加を求めて準備を進めていたアフガニスタンの環境専門家6人が、会議への出席を国連気候変動枠組み条約事務局(UNCCC)に拒否され、英国に入国できないでいるという。6人はタリバン政権から逃れ、周辺国に身を潜めている環境の専門家たちだ。

 (写真は、気候変動の激化で干害が頻発、農作物の不作が紛争継続の要因にも)

 英ガーディアン紙によると、6人は名前を伏せられているが、男性5人と女性1人。当初、英政府がビザ発行を拒否したとみられていた。だが担当の英内務省、外交コモンウェルス開発オフィス(FCDO)等によると、英国の判断ではなく、UNFCCC事務局が6人をアフガン代表としての登録を拒否したという。

 6人はタリバンが政権を握る前の政府では、国連の気候関連プログラムに参加した経験もある専門家たちだ。6人のうち一人は取材に対して、「UNFCCCの判断には非常に困惑している。われわれはビザ取得のすべての要件を満たしたが、UNFCCCは明確な理由を示さず、われわれのCOP26参加を拒否した。おそらくアフガニスタンの現在の政治状況を考慮したのかもしれない」と述べている。

 もう一人は、「UNFCCCがこうした行動をとることは、気候変動の影響を受ける多くのアフガンの被害者を抑圧することを意味する。気候変動は国境を超えて影響を及ぼす。UNFCCCは政治と環境問題を混同するべきではない」と不満を表明している。

 国連は持続可能な開発目標(SDGs)で「誰も取り残さない」とアピールしている。だが、SDGsの目標の重要な一つでも気候対策で「アフガンを取り残す」判断をした疑念が生じるわけだ。

 アフガニスタンの温室効果ガス排出量は世界全体の0.03%と極めて小さい。しかし、温暖化加速による干害や農作物の収穫減少等の影響は年々高まっている。国が定める温暖化対策貢献(NDC)は、2030年に13.6%削減(2005年比)を提出しているが、COP26に向けて改定NDCは提出していない。

 ガーディアン紙によると、UNFCCCは6人に対して、当初はビザの取得を英国政府に促進するよう要請していたという。だが、その後の連絡では、「あなた方がアフガン代表としてCOP26の参加者に指名されることは歓迎するが、あなた方の現在の地位は、『拒否』されている」と伝えてきたという。

 少々、わかりにくいが、アフガンのCOP26参加は認めるが、6人は現状では、タリバン政権から会議への参加代表者と認められていないので、UNFCCCも認めるわけにはいかない、ということのようだ。そうした判断が、タリバン政権との協議の結果のことなのか、あるいは同政権の意向を把握できない状況が続くので、6人をアフガン代表として受け入れることはできないのかは、不明だ。

 COP26に参加する他の国の代表や多くの企業、NGO等の参加者に向けてもUNFCCCは、アフガン代表の参加を認めない理由を明示すべきだろう。

 https://www4.unfccc.int/sites/submissions/indc/Submission%20Pages/submissions.aspx

https://www.theguardian.com/environment/2021/oct/30/afghans-cop26-delegate-applications-rejected