HOME8.温暖化・気候変動 |ニュージーランド政府、COP26の開催直前に、「国が定める温暖化対策貢献(NDC)」改定を決定。2030年で50%削減(05年比)。畜産等農業部門からの排出削減がカギ(RIEF) |

ニュージーランド政府、COP26の開催直前に、「国が定める温暖化対策貢献(NDC)」改定を決定。2030年で50%削減(05年比)。畜産等農業部門からの排出削減がカギ(RIEF)

2021-10-31 15:34:11

Arden001キャプチャ

 ニュージーランド政府は31日、パリ協定に基づく同国の「国が定める温暖化対策貢献(NDC)」を改定し、2030年削減目標を50%削減(2005年比)とすると発表した。ジャシンタ・アーデン首相は「今回の目標改定は、地球温暖化の最悪の影響を避けるために必要な水準。気候変動との闘うためにわが国が公正・衡平に負担する貢献だ」と強調した。

 

 (写真は、ニュージーランドのアーデン首相)

 

 同日から英グラスゴーで開く国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の直前に改定NDCを発表することで、COP26への議論の引き上げに貢献する狙いもある。

 

 同国は「2050年ネットゼロ」に向けた対策を明確にするため、2019年に「1.5℃目標」の達成を盛り込んだ「Zero Carbon Act」を設立した。ただ、同国の専門家による独立委員会である気候変動委員会(Climate Change Commission: CCC)からは、これまでの同国のNDC(2030年までに30%削減(05年比))は、1.5℃目標達成と乖離があると指摘されていた。

 

 今回のNDCの改定は、政治的アピールではなく、 CCCの勧告を受けて決定したことになる。同国の温室効果ガス排出量は世界全体では小さなウエイトでしかないが、牧畜等の農業部門からの排出量が増大、1990年から2018年の間で排出量は57%も増えている。2019年も前年比2%増。30年までに50%削減を実行するには、農業部門を中心とした明確な削減効果が必要になる。

 

 同国政府は、新たなNDCの目標達成と整合する削減計画を来年中に公表するとしている。アーデン首相は「目標達成の最優先ポイントは、(海外のクレジットに頼るのではなく)国内での削減を軸とする。それが公正で衡平な道だ」と強調している。

 

 同首相は「気候変動対策は我が国政府の優先課題だ。気候変動は、わが国の経済、環境、そして人々の日々の生活にとって脅威であるためだ。NDCを引き上げることは、我々すべての未来にプラスとなる安定した気候への投資でもある」と指摘している。

https://www.beehive.govt.nz/release/govt-increases-contribution-global-climate-target