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商船三井、インドネシア・スマトラで、マングローブ再生等を軸としたREDD+事業に進出。30年にわたり1100万㌧のクレジット創出目指す(RIEF)

2022-01-12 13:47:49

OMI003キャプチャ

 

 商船三井は、インドネシアのスマトラ島でマングローブを再生・保全して、自然保全と地域社会の安定に貢献するとともに、CO2クレジットを創出するブルーカーボン事業を展開する。現地で、マングローブ保全活動を展開しているワイエルフォレスト社(福岡市 : YLF)と連携し、今後30年にわたり、約1100万㌧のクレジットを生み出す計画だ。

 

 (写真は、植林されたマングローブの幼苗(フタバナヒルギ))

 

 YLF社は、特定非営利活動法人国際マングローブ生態系協会(ISME)の技術指導を受けながら、2013年からインドネシアの南スマトラ州オーガン・コムリン・イリール県(OKI県)で約14000haのマングローブ林を対象に森林保全と地域社会の安定を進めるREDD+事業を行っている。同事業では造林(Silviculture)と漁業(Fishery)を組み合わせた「シルボフィッシャリ―」事業も展開している。

 

ブルーカーボンプロジェクトの場所。インドネシア南スマトラ州
ブルーカーボンプロジェクトの場所。インドネシア南スマトラ州

 

 OKIでのREDD+事業では、養殖池の開発による違法伐採や、森林火災、気候変動の影響による植生の自然減少等による森林の劣化や荒廃等が、対象地域の65%のエリアで進んでいる。YLFでは2022年から、違法な養殖池の開発や違法伐採で裸地になっている場所が4557haを対象に、10年間かけて毎年455haずつマングローブの植林を実施する計画だ。

 

 商船三井はこうしたYLFの活動を資金面から支援するほか、現地でのプロジェクトの運営にも関わるとしている。今後、30年間で、森林保全活動によるCO2吸収力の保全によって約500万㌧のCO2の排出抑制のほか、マングローブ等の新規植林を実施することで約600万㌧のCO2の吸収・固定力を生み出す計画だ。開発を予定する合計1100万㌧のカーボンクレジットは、国際的なカーボンクレジット基準管理団体Verraの認証取得を目指す。

 

シルボフィッシャリー事業のモデル図
シルボフィッシャリー事業のモデル図

 

 マングローブは大気中のCO2を取り込んで、炭素を蓄えるだけでなく、マングローブと共に生きる動植物の多様性維持の宝庫にもなっている。また、高波から沿岸に住む人々の暮らしを守る適応機能も備える。商船三井は、「YLFとともに、プロジェクトを通じて、マングローブの再生・保全活動を行うほか、シルボフィッシャリ―の導入で、持続可能な水産・森林経営を通じて地域住民の生計向上を支援し、人と自然が共生する社会づくりを目指す」とコメントしている。

 

 同社は2021年6月策定の「環境ビジョン」で、2050年までに事業に伴うスコープ1、2、3の全てのGHG排出量を対象とした「ネットゼロ」の達成を宣言している。今回のブルーカーボン事業への進出によって、自社の排出量をカバーするほか、プロジェクトの進展によって、自然、技術ベースのネガティブ・エミッションの創出も目指すとしている。将来のクレジット販売事業も視野に置いているようだ。

https://www.mol.co.jp/pr/2022/22002.html

https://ylforest.co.jp/topic20220106/