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電動タンカーに高速充電する世界初のEV船用給電ステーション、川崎港で公開。12時間で1隻分のフル充電可能。船舶の電動化にも給電ステーション整備が急務(RIEF)

2022-04-14 22:51:31

asahi003キャプチャ

 

 川崎市、旭タンカー(東京)、東京電力エナジーパートナーの3者は14日、大容量リチウムイオン電池を動力源とする電動(EV)タンカーに給電するEVタンカー専用の世界初の給電ステーションを公開した。ステーションには初のEVタンカー「あさひ」が接岸した。ステーションは、空の状態から12時間程度でEVタンカーのバッテリーを完全充電できる。陸上のEVと同様、船舶の電動化の場合も、給電ステーションのインフラ整備が課題だ。


 川崎港の夜光けい留さん橋(神奈川県川崎市川崎区夜光3丁目2番地の5)に設置した給電ステーションは、EVタンカーへ電気を供給し、タンカーに搭載されている大容量リチウムイオン電池に蓄電する。

 

 給電ステーションは、引込電柱、受電設備、ケーブルマネジメントシステム、コネクタで構成される。東京電力グループが独自に開発した。EVタンカーのタラップ先端に設置された船側コネクタとケーブルマネジメントシステムの 陸側コネクタを接続し、船上の陸電操作盤にて給電操作を実施する仕組みだ。

 

 EVタンカーが1日(約12時間)に運航するために必要な電力を、夜間停泊中(約12時間) に充電することができる。独自開発したケーブルマネジメントシステム(潮位や波による船舶の揺れを吸収)のほか、信頼性の高い船舶用給電コネクタを採用することで、安定した充電作業ができるという。

 

 仕様は(1) 受電電圧 6.6kV(2)給電容量375kVA/隻で、同時に2隻のタンカーに給電できる。エネルギーサービス事業者は日本ファシリティ・ソリューション社で、開発・施工は東光高岳が担当した。

 

 給電ステーションに接岸したEVタンカー「あさひ」は、旭タンカーが発注したCO2ネットゼロのバッテリー電気推進タンカーの第一号船。昨年12月に進水した。重油運搬船で、総トン数 492㌧。速力約10ノットで運航する。バッテリー容量3480kWhのリチウムイオン電池が動力源。同船から排出されるCO2だけでなく、NOX、SOX、煤煙等も出ないゼロエミッション船。https://rief-jp.org/ct8/121074

 

 環境負荷の低減とともに、騒音や振動も抑えられる。このため、乗組員の労働環境や港湾周辺環境の改善も期待できるとしている。川崎港を母港として、東京湾を航行する船舶への燃料供給船として活動する予定。旭タンカーは来年3月に、2隻目のEVタンカーの竣工を予定している。

 

 自然災害発生時には船内の大容量バッテリーの電気を非常用とし て陸上に供給することも想定している、という。EV船が増えれば、積み荷の化石燃料の重油の代わりに、将来は、蓄電池等を運搬することになるかもしれない。

https://www.asahi-tanker.com/news-release/2022/667/

 https://www.tepco.co.jp/ep/notice/pressrelease/2022/pdf/220414j0103.pdf