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建築物省エネ法改正案、閣議決定。今国会での成立目指す。2025年度までに、省エネ基準を新規のすべての住宅・建物に義務付け。建物のエネルギー需要を削減、CO2排出削減につなげる(各紙)

2022-04-22 13:30:04

shoueenキャプチャ

 

 各紙の報道によると、政府は22日の閣議で、住宅の省エネ促進を義務付ける「建築物省エネ法」の改正案の今国会提出を決定した。法案では、現在、一定規模のオフィスビル等の新築建築物に限って義務付けられている省エネ基準を、2025年度までに住宅を含むすべての新築建物に適用する。当初は2020年度までの義務化を目指していたが先送りされていた。2030年度までに温室効果ガス排出量を46%削減を達成するために今国会での成立を目指すこととした。

 

 「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」の改正案。政府は、2025年にすべての新築建築物に省エネ基準適合を義務付けるほか、既存建築物の省エネ改修を進めること、木材住宅・建築物の利用拡大などを盛り込んでいる。政府は、温室効果ガス排出量削減目標を達成するため、エネルギー量削減目標の14%分を建物の省エネ化で実現することを想定している。

 

 今回の改正で省エネ化が義務付けられるのは、新築建物に限定されるが、EU等では既築建物の省エネ化が焦点となっており、今回の建物省エネ法改正に続いて、既築建物対策の迅速な対応が求められる。

 

 今回の改正法案の提出については、今夏の参院選挙に加えて国交省の統計不正問題等で、法案審議に割ける時間がとれなくなるとの見通しから、いったんは提出が見送られる可能性が出ていた。しかし、同法案の成立が遅れると、気候政策との整合性がつかなくなるほか、建設業界や環境NGO等からも強い反発の声が寄せられたこともあり、急転、提出に踏み切った。

 

 報道によると、斎藤鉄夫国土交通相は閣議後会見で「原油価格の高騰が急務となる中、住宅の省エネ化促進など経済構造の転換が必要となっていることなどもふまえ、今国会に提出することとした」と述べた。

 

 環境NGOらは今回の政府の法案提出に歓迎の意向を示している。気候ネットワーク(KIKO)は「住宅・建築物対策は、今回の法改正に止まらず、既存の住宅・建築物のストック対策も含めて対策が強化されることが求められる。国民に対しては、イニシャルコストが高くなる分、エネルギーコストを抑えられる点を十分に周知するべき」としている。

 

 住宅メーカー等は、住宅の省エネ化によって新たな需要拡大を見込んでいる。住宅生産団体連合会は2月、今国会への法案提出を求める要望書を国交省に提出していた。すでに大手の住宅メーカー等は、住宅についても省エネ基準に適合する住宅を手掛けている。中小・零細の事業者については新たな対応が必要になる可能性もあるが、住宅需要への刺激による市場拡大への期待が大きいという。

 

 住宅の省エネ性能の向上によって、電力需要が減少するほか、空調利用の平準化等が進んで需要のピークも分散する期待がある。専門家は「電力需給を和らげる方法として、新たな発電所をつくるよりも即効性があって効果的だ」との指摘もある。

 

https://digital.asahi.com/articles/ASQ4Q32KCQ4PULFA030.html

https://www.kikonet.org/info/press-release/2022-04-15/kenchikubutsu-shoene