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欧州議会による、サステナブルファイナンス・タクソノミーへの「天然ガスと原発」受け入れ採択。スウェーデンの環境活動家、グレタ・ツゥンベリーさんが「偽善の極み」と、つぶやき(RIEF)

2022-07-07 07:56:06

gretaキャプチャ

 

  EU欧州議会が、サステナブルファイナンスのタクソノミーに、天然ガスと原子力発電所を盛り込む欧州委員会の案を承認したことで、同案は事実上、EUの承認を得た。EU内では、環境NGO等は猛反発、両分野のビジネス界はほっと胸をなでおろしたという形だ。その中で、ここ数年、気候変動への各国政府の無策を批判してきたスウェーデンの環境活動家、グレタ・ツゥンベリーさんさんは「偽善の極致。残念ながら驚きはしませんが」とクールに「大人たちの悲喜劇」をツィートした。

 

 グレタさんはツィッターで、「欧州議会が化石燃料ガスに、『グリーンなエネルギー』とのラベルを付与することを決めました。これによって、真に必要とされるサステナブルなトランジション(移行)は確実に遅れ、われわれがロシアの燃料への依存度はさらに深まるでしょう。まさに(欧州議員たちの)偽善の極致ですが、残念ながら、驚くことでもない。これは私のタクソノミーとは違いますからね」とつぶやいた。https://rief-jp.org/ct5/126425

 

 「The European Parliament just voted to label fossil gas as “green” energy. This will delay a desperately needed real sustainable transition and deepen our dependency on Russian fuels. The hypocrisy is striking, but unfortunately not surprising. This is still #NotMyTaxonomy

 

 欧州議会の採決結果には、議会のグリーン派や環境NGOが猛反発し、オーストリアやルクセンブルク等は欧州理事会での採決とは別に、欧州司法裁判所に提訴する準備を示している。また環境NGOの中にも別途、訴訟を宣言するところが出ている。

 

 一方、両分野のビジネス関係者やロビースト、さらにロシアのウクライナ侵攻でEUのエネルギー供給の脆弱さに直面した向きは「現実的な選択」との評価を下している。直前の欧州委の議会議員向けの説明では、「(両分野は)あくまでもトランジション(移行)としての措置であり、これによって、ガス火力が大量に建設されたり、原発が建設されるものではない」と”言い訳”を展開した。

 

 各国国民向けの説明が必要な欧州議員向けには、ロシアの侵攻を受けて、苦境が続いているウクライナのエネルギー相が、戦後復興のためにも両分野へのEUからの支援を求めるレターを回覧して、「これはウクライナの復興対策でもあり、ロシアへの対抗策でもあるから、やむを得ない」との雰囲気を醸し出す動きもあったとされる。https://rief-jp.org/ct5/126405

 

 グレタさんにとっては、こうした動きはすべて、役人や政治家たちの「偽善」のつじつま合わせであって、「本当のグリーン&サステナブルなタクソノミー」ではないとの思いを、さらに強めたようだ。欧州議員の間では、「法案を立案するわれわれではなく、欧州官僚が当初のタクソノミーの主旨をゆがめてしまった。これは官僚機構の『暴走』だ」と、欧州委のあり方自体を批判する向きも出ている。本当の着地はもう少し先かもしれない。

 

https://twitter.com/GretaThunberg/status/1544637147646509057?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1544637147646509057%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.climatechangenews.com%2F2022%2F07%2F06%2Feu-set-to-use-green-label-for-gas-nuclear-investments-after-parliamentary-vote%2F