ブラウン英元首相ら世界の元リーダーら70人。COP28のジャベール議長に、主要産油国の石油・ガス輸出収入に課税し年250億㌦を徴収、途上国の気候対策に充てるよう求める書簡（RIEF）
2023-12-01 12:07:13
ゴードン・ブラウン英元首相や潘基文前国連事務総長、ヘレン・クラーク前ニュージーランド首相、世界的なエコノミストら70人（うち25人が元首相・大統領）が、30日にドバイで開幕した国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議（COP28）のスルタン・アル・ジャベール議長（アラブ首長国連邦産業・先端技術相）と、G20のルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ議長（ブラジル大統領）に対して、産油国の石油・ガス輸出収入に課税して年250億㌦を生み出し、グローバルサウス（途上国）の気候変動対策に充てるよう求める書簡を送った。
石油やガスを大量に埋蔵している国々の輸出収益の合計は、この2年間で約1.5兆㌦（約225兆円）から4兆㌦（約600兆円）と記録的な伸びを示した。
石油収入への課税を求める声はこれまで、シェルやBP、トタル、エクソンモービルなど民間エネルギー企業に集中してきた。しかし実際、世界の石油・ガス生産に占める民間企業の割合は約15％に過ぎない。
ほとんどの生産は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦（UAE）、ノルウェーなど主要石油国家の“NOC”と呼ばれる国営石油会社によるものだ。最大の受益者は輸出収益だけで9,730億㌦（前年比3,810億㌦増）を集めた主要石油国家だ。
中でもUAEの石油・ガスの輸出収益は630億㌦から980億㌦に、カタールは530億㌦から860億ドルに、クウェートは630億㌦から880億㌦に、ノルウェーは870億㌦から1740億㌦に、サウジアラビアは1900億㌦から3110億㌦に増加した。
これら5カ国の石油・ガス輸出収益に限ってでも3％課税をすれば、年間250億㌦（約3️兆7,500億円）の税収が得られる。これをグローバルサウス（途上国）の国々に送れば、彼らは人々を貧困から救い、温室効果ガス（GHG）の排出を削減し、気候危機の影響に対処するのに使うことができる。
書簡送付に先立ってブラウン元英首相は英紙に対し、「私たちが目にしているのは、石油国家の衝撃的なレベルの大もうけであり、それはグローバルサウスの国々の犠牲の上に成り立っている。最近の石油・ガス価格高騰の矛先はグローバル・サウスに向かい、化石燃料への依存によってそこに暮らす人々の貧困を深めているのだ。石油国家は、気候危機の解決に貢献しなければならないはずだ」と述べていた。
また、「特に腹立たしいのは、スポーツウォッシングのようなことに費やされているお金で、それはグローバルサウスで貧困を煽っている人々によって集められたものだ。サッカー選手に1億㌦を支払う代わりに、絶望的な状況にある国にそれを与えることができる。私の提案では、サウジアラビアは約100億㌦の支払いを求められるが、これは同国がサッカー、ボクシング、ゴルフに費やしている金額よりも少ない」と語り、産油国に課税してグローバルサウスの途上国諸国に回すことは正当である、と主張していた。
Research Institute for Environmental Finance