HOME |中東ドバイ。4月に起きた集中豪雨・洪水対策で、300億ディルハム(1兆2800億円)を投じ、全土カバーの排水ネットワーク整備。気候変動で砂漠都市も最大級の「適応対策」必要に(RIEF) |

中東ドバイ。4月に起きた集中豪雨・洪水対策で、300億ディルハム(1兆2800億円)を投じ、全土カバーの排水ネットワーク整備。気候変動で砂漠都市も最大級の「適応対策」必要に(RIEF)

2024-06-27 00:03:33

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写真は、4月に降った集中豪雨で都市機能がマヒしたドバイの街=Reutersより)

 

  中東のアラブ首長国連邦(UAE)のドバイは4月に発生した記録的な豪雨による洪水で、市街地全体が機能停止に陥ったことの対策として、300億ディルハム(約1兆2800億円)を投じて、ドバイ全土をカバーする排水ネットワークを10年がかりで整備する。砂漠気候のドバイでは通常は、年間平均降雨量は140~200mm前後。だが、4月は一日で254.8mmの観測史上最多を記録、都市機能がマヒした。今回、整備する排水ネットワークでは一日当たり2000万㎥以上の水を吸収できるという。工事は段階的に進め、全体が完成するのは2033年としている。

 

 UAE首長のムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム副大統領兼首相兼国防相がXで公表した。導入する排水ネットワーク事業は「タスリーフ」プロジェクト。同事業によりドバイの雨水排水処理能力は現状より7倍強化されるという。

 

 ドバイでは4月16日に、1949年の観測開始以来最大の豪雨が発生した。国立気象センターによると、16日午後9時までの24時間降雨量は過去最大を記録。アブダビ首長国の第2の都市アルアインのハトム・アル・シャクラ地区では、24時間の降雨量が254.8mmに達し、一日で年間降雨量を上回ったことになった。

 

 異例の豪雨と洪水の影響で、国際航空のハブ空港であるドバイ国際空港(DXB)も、航空便の遅延や運休が相次いだ。地下鉄は浸水で一部区間が運休となり、道路も各地で冠水が発生、通行止めが相次いだ。ドバイ政府の公務員も出勤できず在宅勤務を強いられたほか、学校の休校も起きた。

 

 この豪雨と洪水で、ドバイでは、少なくとも1人の死亡者が出たほか、隣国のオマーンでも、豪雨と洪水の被害により、少なくとも19人の死亡が確認されたとしている。

 

 洪水対策を打ち出したアール・マクトゥーム氏は「ドバイ全土を1つの雨水収集システムでカバーする。これにより、首長国の雨水排水能力が 700% 増加し、将来の気候変動の課題に直面する準備が強化される。 新しいプロジェクトは今後100年間、ドバイにサービスを提供する。工事は段階的に実施され、これにより、ドバイはインフラの維持と、都市の利益、土地に住むすべての人たちの安全と安心を高めることにつながる」と説明している。

 

 ドバイでは現在、ドバイ国際空港に代わる形で、同国南部のアル・マクトゥーム国際空港の大規模化工事が進められている。新たなターミナル建設によって、ドバイ国際空港の5倍の規模となり、世界最大のキャパシティーを持つ国際空港となる。同工事の建設費用は1280億ディルハム(約5兆5040億円)。排水ネットワーク工事も、空港整備事業と同列の大規模インフラ事業となる。

 

https://www.moroccoworldnews.com/2024/06/363434/dubai-announces-8-billion-stormwater-runoff-system-after-record-deadly-floods

https://indianexpress.com/article/world/uae-dubai-floods-repairs-homes-aid-emaar-9291031/