HOME |6月の世界の平均気温は16.66℃で過去最高に。昨年6月以降、13カ月連続で月間最高気温を継続中。この間の平均気温は産業革命前から「1.64℃」上昇で「1.5℃目標」超えが続く(RIEF) |

6月の世界の平均気温は16.66℃で過去最高に。昨年6月以降、13カ月連続で月間最高気温を継続中。この間の平均気温は産業革命前から「1.64℃」上昇で「1.5℃目標」超えが続く(RIEF)

2024-07-08 15:57:18

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   EUの気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」は8日、6月の世界全体の平均気温は16.66℃で、6月の気温としては観測史上過去最高だったと発表した。これまでの最高値だった昨年6月より、0.14℃高かった。世界の平均気温は昨年6月以降、13カ月連続で過去最高の気温が続いたことになる。6月までの12か月間の年間ベースの平均気温は、産業革命前(1850 ~1990年)の同年間の気温に比べ1.64℃高く、5月に続いて2カ月連続で年間でパリ協定の「1.5℃」目標を超えたことになる。各国の気候対策の強化が必要ということを、気温上昇が示している。

 

 6月の世界の平均気温は直近10年(1991~2020年)の平均気温に比べても0.67℃高かった。地域別では、欧州の6月の平均気温は直近10年平均よりも1,57℃高く、6月としては過去2番目の高温だった。特に欧州南部やトルコ周辺での気温が高く、西欧、アイスランド、ロシア西北部等では平均よりやや低かった。

 

 気温上昇に伴う気象条件の変化では、アイスランド、中央ヨーロッパ、南西ヨーロッパの大部分で平年より雨が多く、ドイツ、イタリア、フランス、スイスの地域では大雨による洪水が発生した。また、アイルランド、英国の大部分、フェンスカンディ ア、南イタリア、東ヨーロッパの大部分(特に黒海周辺) では平年より乾燥した。

 

産業革命前以来の世界の6月の平均気温の推移
産業革命前以来の世界の6月の平均気温の推移

 

 北米の一部では平年より雨 が多く、6月には早すぎる例外的なハリケーン「ベリル(Beryl)」の襲来による暴風雨が続いた。南西アジア、南東アジア、アフリカ最南端、オーストラリ ア、南米でも平年より雨が多かった。また北米、アジアのいくつかの地域、南米の大部分では平年より乾燥した天候となり、ロシア北東部と南米中央部では深刻な山火事が発生した。

 

 太平洋東部の赤道域から南米沿岸にかけて海面水温が平年より低くなるラニーニャ現象が発生しているが、太平洋海域上の大気の温度が例年とは異なり、多くの地域で高い水準が続いてることから、6月の南北緯度60°圏の海面の温度は20.85℃と、6月では過去最高となった。海面の温度が過去最高を記録するのは、15カ月連続となる。

 

 北極海の海氷域面積は平年を3%下回った。一方で、南極海の海氷域面積も平年より12%縮小し、衛星データによる6月の海氷域面積としては2023年の-16%に次いで2番目に少ない面積となった。

 

 C3S所長のカルロ・ブオンテンポ(Carlo Buontempo)氏は「6月は13カ月連続で記録的な高温となり、産業革命前と比較しても12カ月連続で『1.5℃』を上回った。これは統計的に異例なことである以上に、われわれの気候が大きく変化し続けていることを浮き彫りにしている。この極端な連続現象がある時点で終わったとしても、気候が温暖化し続ければ、新たな記録が更新されるに違いない。大気や海洋への温室効果ガス(GHG)の排出を止めない限り、これは避けられない」と述べている。

 

 パリ協定で、地球の温暖化を食い止めるには産業革命時代からの気温の上昇を「1.5℃」ないしは「2℃」までに抑えるとしている目標は、年間ベースの上昇ではなく、20年または30年間の地球の平均気温の上昇を抑えることを意味している。

https://climate.copernicus.eu/copernicus-june-2024-marks-12th-month-global-temperature-reaching-15degc-above-pre-industrial