HOME |今年の世界の平均気温、観測史上最高となることがほぼ確定。産業革命前からの気温の上昇も、パリ協定の「1.5℃目標」を年間で初めて突破へ。25年は気候災害さらに加速の恐れ(RIEF) |

今年の世界の平均気温、観測史上最高となることがほぼ確定。産業革命前からの気温の上昇も、パリ協定の「1.5℃目標」を年間で初めて突破へ。25年は気候災害さらに加速の恐れ(RIEF)

2024-12-10 22:41:48

スクリーンショット 2024-12-10 164955

上図は、1940年~2024年の年間気温が、産業革命前に比して、どれくらい上昇しているかを示す推移)

 

  今年(2024年)の世界の平均気温が、観測史上最も暑い年になることが事実上、確定した。EUの気候監視ネットワーク「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」の9日の発表によると、11月の世界の平均気温は14.10℃で、昨年同月に次いで過去2番目に高い値となったほか、直近の1991年から2020年の同月の平均気温を0.73℃上回った。1月~11月までの11カ月の平均気温は、これまででもっとも高かった昨年の同期間より0.14℃高く、年間を通して過去最高気温になるのが確実になった。同月の産業革命以前の気温の上昇も1.62℃に達し、年間を通してパリ協定が目標とする「1.5℃以内への抑制」を上回るのはほぼ確実だ。

 

 C3Sによると、24年11月単月の陸上での世界の平均気温の14.10℃は、昨年の同月に次いで過去の観測史上で2番目に高かった。パリ協定の「1.5℃」目標を上回ったのは、11月までの17カ月間のうち、大半の16カ月に及んだ。C3Sは11月までの気温上昇の継続から、「2024年が記録上最も暑い年になることは、この時点で事実上確実」と評価している。これまでで観測史上最も暑かった年は昨年の2023年だが、今年はそれを確実に上回ることになる。

 

 11月の海面の水温は、南緯60°~北緯60°の間の平均海面水温(SST)が20.58℃で、11月の水温としては観測史上2番目に高い値だった。過去最高だった前年同月に比べてわずか0.13℃低いだけだった。陸上の気温だけでなく、海面の水温も同様に上昇が続いていることを裏付けている。

 

11月のグローバルな海洋水温の変化の分布
11月のグローバルな海洋水温の変化の分布

 

 11月の世界の平均気温の状況を地域的にみると、欧州の陸地での平均気温は5.14℃で、1991年から2020年の11月の平均気温を0.78℃上回った。ただ、欧州全体では過去のもっとも暖かい11月の年に比べて10位以下だった。欧州の地域別では、ロシア北部および欧州北東部と南西部で平均気温を上回り、南東欧州では平均気温を下回った。

 

 北米では、カナダ東部、米国中央部および東部、メキシコの大部分で平均気温を大きく上回った。またモロッコ、北西部アフリカ、中国、パキスタン、シベリアの大部分、オーストラリアでも平均気温を大きく上回った。反対に米国西部、北アフリカの一部、ロシア極東部、南極大陸の大部分で平均気温をかなり下回った。

 

 同月の降雨量は、西欧と中欧の大部分で平均を下回ったが、アイスランド西部、英国南部、スカンジナビア北部、バルカン半島南部およびギリシャ、スペイン東部、そして東欧の大部分では、逆に降水量が平均を上回った。欧州以外では、米国の多くの地域、オーストラリアの大部分、南米の広大な地域、中央アジアから中国東部にかけての地域で、平均以上の降雨がみられた。台風が西太平洋を襲い、特にフィリピンで大雨と被害をもたらした。

 

 一方、米国南西部、メキシコ、チリ、ブラジル、アフリカの「角」地帯、中央アジアの一部地域、中国南東部、アフリカ南部では、平均よりも乾燥した気候状態が続いた。北米と南米のいくつかの地域では、干ばつが発生した。

 

直近の月ごとの最高気温の推移(2023年との対比)
直近の月ごとの最高気温の推移(2023年との対比)

 

 海面水温は赤道付近の太平洋東部および中部では平均気温を下回る気温が観測され、中立またはラニーニャ現象の傾向に向かっていることを示した。だが、世界の海洋の表面の広範囲にわたって海面水温は依然として異常に高い状態が続いている。

 

 同月の北極海の海氷面積は、3番目に少ない面積となり、平均より9%少なかった。スヴァールバル諸島とフランツ・ヨシフ諸島周辺の海域では、海氷の濃度異常が平均を大幅に下回った。一方、南極の海氷面積は過去3番目に少ない値で、平均を9%下回った。2016年と2023年の値をわずかに上回り、23年と24年を通して観測された歴史的に大きな負の異常値が引き続いた。南氷洋の海氷濃度異常は、ウェッデル海と広大な西南極域で平均を上回り、南大西洋、インド洋、ロス海の各海域では平均を下回った。

 

 C3S副所長のサマンサ・バージェス(Samantha Burgess)氏は「コペルニクスのデータが年内最後の2カ月(11、12月)となった段階で、2024年が年間を通じて観測史上、最も暖かい年であり、『1.5℃』を上回る最初の一年となることがほぼ確実になった。これはパリ協定が破られたことを意味するものではないが、野心的な気候変動対策がこれまで以上に急務であることを意味する」と述べている。

 

 1~11月の11カ月を振り返って、発生した気候災害は、スペインとケニアでの致命的な洪水をはじめ、米国とフィリピンで激しい熱帯暴風雨、南米全域で深刻な干ばつと山火事が大きな影響を及ぼした。再保険大手のスイス・リーの推計によると、今年の自然災害による経済損失は計3100億㌦(約47兆円)に上る。

 

 発展途上国の気候変動への備えは脆弱で、途上国の適応事業等の対策費として2035年までに年1.3兆㌦(約195兆円)の外部援助が必要とされている。11月にアゼルバイジャン・バクーで開いた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)では、この途上国対策をめぐって紛糾した。最終的に先進国は35年までに、途上国に年3000億㌦(約45兆円)の気候支援を約束した。

 

 だが、米国がトランプ次期大統領の下で、パリ協定から離脱するのは確実視され、米国抜きの先進国による3000憶㌦捻出が危ぶまれている。一方で、途上国にとって、激化する気候災害への対策資金としては、年3000億㌦でも極めて不十分とされている。気候変動の加速が明瞭になる中、国際的な気候連携の持続可能性が改めて問われる状況が露わになり、われわれは年を越そうとしている。

https://climate.copernicus.eu/copernicus-second-warmest-november-globally-confirms-expectation-2024-warmest-year#5fe7bdba-ef4c-48e0-b8f3-8e38b317c105