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北極海の海氷。早ければ2027年夏にも「無氷状態に」。研究者がモデルを使ったシミュレーション評価。これまでの推計「2030年」から3年早まる。ホッキョクグマたちはどうなる?(RIEF)

2024-12-16 01:27:48

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写真は、2023年6月の「US Today」より引用)

 

  地球上で最も早く温暖化の影響が出ているとされる南北両極のうち、北極海の海氷が、早ければ、2027年夏にはほぼ全て消えてなくなる可能性がモデルを使ったシミュレーションで示された。これまでの推計では2030年ごろに消失の懸念があるとされていたが、さらに3年早まる可能性が出てきたことになる。今年(2024年)が観測史上で過去もっとも気温が高い年だったことがほぼ確定しており、地球の他の地域より約3倍のスピードで温暖化が進むとされる北極で、海氷が無くなると、海洋に吸収される熱量が増えて気温上昇にさらに拍車がかかるとされる。

 

 米コロラド大学のJahn Alexandra氏と、スウェーデンのヨーテボリ大学のCeline Heuze氏が、共同執筆の「The first ice-free day in the Arctic Ocean could occur before 2030」と題する論文で指摘した。同論文は「nature communication」に掲載された。https://www.nature.com/articles/s41467-024-54508-3

 

 研究論文は、複数のコンピューターを使ったシミュレーションモデルで、北極海で海氷がなくなる日についての予測を行った。北極と南極の両極域は、気温の上昇が地球の中で最も早く進んでいるとされ、特に、海に浮かぶ海氷の減少速度が増している。気候モデルによるこれまでの予測では、2050年までに9月の月平均海氷面積(SIA)が100万㎢以下になる可能性が指摘されている。https://rief-jp.org/ct12/143448

 

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 北極海から海氷が消える時期をめぐる予測では、モデルの偏りや内部変動性による不確実性が大きいとされる。1年で海氷が最も少ない日の面積は1979年から92年の年平均で685万㎢だった。だが、温暖化の加速で、今年(2024年)は428万㎢へと大幅に減っている。海氷が小さくなると、実質的に観測が困難になることから、科学者の間では、面積が100万㎢を下回ると実質的に「消失」とみなされるという。https://rief-jp.org/ct8/151294?ctid=

 

 研究チームが今回の予測で使用したモデルやシナリオによると、最も早い予測では2023年相当のモデル状態から3年後(2027年)の予測とするケースから、2100年とみる予測のケースまで、時期的に大きな幅があることがわかった。このうち、最初の無氷日が3~6年以内に発生する可能性がある9つのシミュレーションに焦点を当て、大きな影響をもたらす最初の無氷日への移行の原因を検証した。

 

 その結果、不確実性は依然あるものの、9月の月平均が氷のない状態の閾値に達する前に、SIAが100万㎢以下となる「北極海に氷の無い日」が初めて観測される可能性があるとの結論を得たとしている。現実に、そうした「氷の無い日」を確実に予測できるモデルは今のところ存在しないことから、あくまでも推測の域を出ないとしている。

 

 しかし、昨年(2023年)に観測された海氷面積は339万㎢以上で今年より100万㎢近くも小さかった。1年で100万㎢の変動は毎年のように起きる。同水準をモデルとし、23年と同様のSIA最小値から、SIAが100万㎢以下となる最初の日の移行にかかる時間を推計した。同推計にはシミュレーションの不確実性の一部も取り除いて検証したという。

 

 その結果、対象とした早期の無氷日の到来は、すべてのケースが急速に海氷が減少するという事態に基づいて起きる可能性が示された。その原因としては、冬と春の両シーズンが温暖化によって変化することが関連しているとしている。北極海の海氷が無くなると、影響を受けるのは、生息場所を失うホッキョクグマだけではない。多くの重要なプランクトンなどに至るまで、生態系全体が大きな影響を受ける。

 

 一方で、北極海の航行がし易くなることや、シベリア等の永久凍土地帯での穀物生産等の可能性も出てくるという「温暖化プラス論者」の主張も声高になりそうだ。しかし、永久凍土の溶融が加速するとメタン等の急激な漏洩リスクも指摘される。メリット、デメリットの比較でいえば、既存の生態系の変化、気象条件の激変などで、デメリットが多くなると思われる。すでに北極圏の生態系は強いストレスの悪影響を受けているとされる。

 

 極域の生態系が変貌を迫られるだけではない。地球の気候システム全体に波及効果が及ぶことが予想される。海洋表層の温暖化が促進され、年間を通じて海氷の減少が加速化されることから、地球全体の気候変動がさらに加速化されることが予想される。北極圏だけでなく、日本等が属する中緯度地域でも異常気象がさらに増加する可能性もある。https://rief-jp.org/ct8/123547?ctid=

https://www.nature.com/articles/s41467-024-54508-3

https://www.usatoday.com/story/news/nation/2023/06/06/arctic-sea-ice-may-disappear-summers-2030s/70273840007/