HOME |トランプ政権のパリ協定離脱に対抗。民主党系州、自治体、企業等による「America Is All In」と「米国気候同盟」が相次ぎ「連邦政府に代わり、クリーンエネ経済移行を」と宣言(RIEF) |

トランプ政権のパリ協定離脱に対抗。民主党系州、自治体、企業等による「America Is All In」と「米国気候同盟」が相次ぎ「連邦政府に代わり、クリーンエネ経済移行を」と宣言(RIEF)

2025-01-21 21:21:40

スクリーンショット 2025-01-21 211425

 

  米大統領に復帰したドナルド・トランプ氏は20日の就任とともに、気候変動対策のパリ協定からの離脱を宣言した。これを受け、気候対策を重視する州当局、地方自治体、企業、団体等で構成するキャンペーン団体「America Is All In」は、共同議長のジナ・マッカーシー(Gina McCarthy)氏らの声明をマッカーシー氏は「パリ協定から離脱することで、この政権は米国民と国家の安全保障を守る責任を放棄することになる。しかし、ご安心を。われわれの州、都市、企業、地域機関は、米国の気候対策におけるリーダーシップのバトンを受け取り、連邦政府の無関心にもかかわらず、クリーンエネルギー経済への移行を継続するために、全力を尽くす準備ができている」と宣言した。

 

 「America Is All In(アメリカは全力を尽くす)」運動は、1期目のトランプ政権が同協定から離脱した際に組織され、1期目のトランプ政権時代を通じて、州・自治体、企業レベルの気候対策を独自に推進した。今回も同様に全米ベースでの気候取り組みを後押しする決意を示している。マッカーシー氏は元環境保護庁(EPA)長官でバイデン政権では国家気候顧問を担った。

 

 同氏は、「もしトランプ政権が本当に米国が世界経済をリードし、エネルギーの自立を果たし、高賃金の米国の雇用、手頃な価格のエネルギー、そしてきれいな空気を創出したいのであれば、クリーンエネルギー産業の成長に焦点を当て続けるべきだ。クリーンテクノロジーは、米国全土の人々のエネルギーコストを引き下げている。もし中国に対して強硬な姿勢で臨みたいのであれば、米国の自動車メーカーや勤勉な米国市民を罰して、クリーンカーの鍵を中国に渡すようなことはすべきではない」と強調した。

 

 また「米国が何兆㌦もの金融投資、政策、決定が、米国経済や気候対策能力の方向性を決定する際に、何らかの発言力を持ちたいのであれば、米国は国際舞台で引き続きリーダーシップを発揮しなければならない。われわれのリーダーは現実を直視しなければならない。気候変動の影響は、今そこにある明白な脅威だ。目を背け、ますます破壊的で危険で高額な災害が、自分たちの身に降りかからないふりをする時ではない。災害はすでに起こっており、クリーンエネルギーの未来を受け入れなければ、さらに悪化するだろう」と続けた。

 

 気候対策を推進する全米市長で組織する気候市長会議議長のフェニックス市長ケイト・ガレゴ( Kate Gallego)氏は「「連邦政府の対応に関わらず、気候市長同盟はパリ協定へのコミットメントを後退させるつもりはない。 行動を起こさないことによる代償はあまりにも大きい。 最近、ロサンゼルスで発生した壊滅的な山火事、フェニックスの異常な夏の気温、ノースカロライナやフロリダを襲った大型ハリケーンなど。われわれは気候変動の影響が身近に迫っていることを目の当たりにしている」

 

「今こそ、これまで以上に、われわれは地域社会を守り、エネルギー料金を下げ、高賃金の地元雇用を生み出し、インフラの近代化と新興市場への投資を通じて米国の経済競争力を維持するための取り組みを加速させなければならない」

 

「米国気候同盟」の書簡
「米国気候同盟」の書簡

 

 環境NGOセレス(Ceres)のCEO兼社長、ミンディ・ルーバー(Mindy Lubber)氏は「米国の投資家や企業は、一貫性、信頼性、予測可能性を重視している。米国がパリ協定からの離脱という残念な措置を取った一方で、世界のその他の国々は目標達成への取り組みを継続しており、民間部門のリーダーや米国の州は、その目標達成に向けた努力を堅持している。米国は、(これまでの)連邦政府によるクリーンエネルギーへのインセンティブのおかげで、必要な技術や革新的なソリューションを提供できる立場を維持している」

 

 「われわれは、これらのインセンティブを維持しなければならない。さもなければ、雇用創出、公共料金の削減、製造業の再建、サプライチェーンの再構築など、大きな経済的チャンスを逃すことになる。今こそ、世界で最も優れた新エネルギー技術や、世界的に需要が高まっているソリューションを構築する場所としてのアメリカの地位を譲るべき時ではない」

 

 「America Is All In」には、米国の気候対策を支援するために結集したリーダーたちの最も広範な連合とされる。同連合は、米国の数千の都市、州、部族、企業、学校、および宗教、健康、文化機関が参加しており、気候危機の緊急性に対応する野心的な包括的な国家気候戦略を策定するために連邦政府を後押しし、連携することを取り組みの対象としている。

 

 メンバーには、国連事務総長特使のマイケル・R・ブルームバーグ氏、元ワシントン州知事のジェイ・インスリー氏、シャーロット市長のヴィ・ライルズ氏、アップル社環境・政策・社会イニシアティブ担当副社長のリサ・ジャクソン氏らも加わっている。

 

 また「America Is All In」の声明とは別に、ニューヨーク州知事のキャシー・ホーコール氏とニューメキシコ州知事のミシェル・ルハン・グリシャム氏は気候対策を促進する州当局で組織する米国気候同盟(United States Climate Alliance) 州政府レベルで、パリ協定離脱に反発して、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)を支持する書簡をUNFCCCのサイモン・スティール事務局長宛てに送付した。

 

 同書簡では「われわれは、米国経済の約60%、米国人口の約55%を代表する24人の知事による超党派連合『米国気候同盟』の共同議長として、 パリ協定の目標を達成し、気候汚染を削減するというアメリカの取り組みを継続していくことを、あなたと世界に向けて明確に表明する」と宣言した。

 

 同書簡では、「われわれ州および準州は、米国憲法の下で、われわれの進歩を守り、必要な気候対策を推進するための幅広い権限を継続して有している」と指摘。「この権限は連邦政府が交代しても変わることはない」「国際社会が米国で気候対策が継続されることを知ることは極めて重要」と付け加えた。気候政策をめぐって「赤い州(共和党系)」と「青い州(民主党系)」の対立は少なくとも、今後4年は続くことになる。

 

https://usclimatealliance.org/

https://usclimatealliance.org/press-releases/alliance-paris-withdrawal/

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://usclimatealliance.org/wp-content/uploads/2025/01/FORMATTED_USCA-Co-Chair-Letter-to-UNFCCC-250112.pdf

https://www.americaisallin.com/america-all-doubles-down-commitment-paris-agreement-despite-trump-withdrawal