米トランプ政権、パリ協定からの離脱を正式宣言。大規模風力発電の建設阻止も。「エネルギー緊急事態」を宣言し、米公有地でのシェール石油・同ガスの開発促進へ(各紙)
2025-01-21 10:10:04

(写真は、NHKニュースから)
各紙の報道によると、20日に米大統領に就任したドナルド・トランプ氏は同日、気候変動対策の国際枠組みの「パリ協定」からの離脱を発表、大統領令に署名した。同氏は就任演説で「不公平で一方的なパリ協定から即時離脱する。中国が平気で汚染を続けているのに、米国が自国の産業を妨害することはしない」と、離脱の理由を説明した。さらに協定離脱を受け「エネルギー緊急事態を宣言する」とし、大統領選挙で公約したシェール石油・同ガスなどの開発促進を強調した。
トランプ政権がパリ協定から離脱するのは、1期目に離脱したことに次ぐ。米国の協定離脱について、国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏は同日、「米国内の都市や州、企業が他の国々とともに、低炭素で強じんな経済成長に取り組み、引き続きビジョンとリーダーシップを発揮することを確信している。米国が環境問題のリーダーであり続けることは極めて重要」とのコメントを公表した。
事務総長は、前回、トランプ政権が協定から離脱した際、米国の民主党系州当局や、自治体、気候対策を支持する企業等が、気候対策の継続を支持したことを踏まえ、今回も米国の州政府や企業レベルで効果的な温暖化対策が継続されることに期待を示した。
地球の温暖化は、2024年の世界の平均気温は15.10℃と観測史上過去最高のレベルに上昇したほか、産業革命以前の気温とされる1850年から1900年の気温の推定値を1.60℃上回った。年間で産業革命前の気温を「1.5℃以上」上回ったのは昨年が初めて。https://rief-jp.org/ct8/152827?ctid=70
トランプ氏は協定からの離脱とともに、大統領選挙の公約とした米公有地でのシェール石油・同ガスの開発促進を主導する「Drill baby drill(掘って掘りまくる)」政策の推進を宣言した。同氏は就任演説で、過剰な政府支出とエネルギー価格の高騰がインフレ危機を招いたとして、「黄金の液体(石油)」を「掘って、掘りまくる」と強調した。
その一方で、バイデン前政権が推進した再生可能エネルギー促進政策の転換を掲げ、大規模な風力発電事業に対する公有地のリースなどを停止する方針も示した。その理由として、大規模な風力発電の建設は、米国の自然の景観を損なうとともに、米国の消費者に奉仕しない等と指摘した。
トランプ政権による再エネ発電から化石燃料発電への転換に対応する形で、バイデン前政権は6日、大統領覚書を公表し、国土っ面積の3割近い規模の海洋掘削を禁止する措置を打ち出している。同措置により、6億2800万エーカーの広大な沿岸部分での石油開発等の海洋掘削が阻止される。同措置を撤回させるには、連邦議会の承認等が必要とされ、トランプ政権の「掘りまくる政策」を遅らせる可能性がある。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250121/k10014698561000.html
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN20CKX0Q5A120C2000000/?type=my#AAAUAgAAMA