世界中での氷河の融解量、年間「2890億~3570億㌧」。日本の年間水使用量の20年分が毎年、海に流れ込み海面上昇の要因に。南極やグリーンランドの氷床より融解ピッチ早く(RIEF)
2025-02-24 23:06:57
地球温暖化の影響で、海面上昇に直結する世界の三大氷源は、南極の氷床、グリーンランドの同氷床、そして各地に点在する氷河の損失とされる。その氷河の融解量は2000年から2023年の間に、世界全体で毎年273±16G㌧(10億㌧)分に達することがわかった。日本の年間水消費量の20年分が毎年、溶けて海面に流れ込んでいることになる。氷河の溶けるスピードは、地域によって異なり、この23年間で地域によって2%減から39%減までの間で分布し、平均約5%減だった。三大氷源のうちでは、氷河の融解ピッチがもっとも早く、グリーンランドの氷床損失より約18%早く、南極氷床損失より2倍以上という。現在の氷河の融解が、海面上昇にもっとも影響を与えていることになる。
欧州宇宙機関(ESA)の「氷河質量収支相互比較作業(GlaMBIE)」の研究グループが「Community estimate of global glacier mass changes from 2000 to 2023」と題する報告書をオンライン科学サイト「nature」で公表した。同分析作業は、国際雪氷科学協会(IACS)の地域別氷河質量変化評価(RAGMAC)ワーキンググループの既存の活動とネットワークを基盤としている。https://www.nature.com/articles/s41586-024-08545-z
氷河は現在進行中の人為的な気候変動の指標として位置づけられている。その融解によって、各地域で地滑り・土砂崩れ、洪水などの局地的な地質災害の要因にもなっている。また環境全体への影響としては、海洋および陸上、生態系、地域的な淡水資源、そして地球規模の水およびエネルギー循環にも、少なからぬ変化と影響を及ぼしている。

これまで地球規模の氷河質量変化の評価は、氷河が点在する地域ごとの観測体制が十分にとられていないという空間的・時間的な制限に加えて、既存の観測データの不均質性の影響等によって、正確な把握が十分にはできていなかった。
そこで、ESAのプロジェクトでは、2000年から2023年の間に、各国の研究チームの協力を得て、現地観測と衛星を使ったリモートセンシング観測を合わせて、氷河の質量変化データを収集し、それらの精度の均質化、結合、分析といった一連の作業を重ねて、地球全体の氷河融解の質量推計を行った。
氷河の融解は毎年一律に生じるのではない。対象期間の23年のうちでも、期間の前半(2000年~2011年)から後半(2012年~2023年)の質量は36±10%増加した一方で、2000年以降、氷河は地域的に2%減から39%減とばらつきがあったほか、全体で約5%の氷の損失がみられたとしている。日本での水使用量は年間149億㌧(2022年)とされることから、氷河の融解量の年間273±16G㌧(2570億~2890億㌧)はそのほぼ20倍になる。
氷河の融解量はグリーンランドや南極の氷床よりも早い勢いで溶けていることになる。昨年4月には、南米ベネズエラに残っていた同国最後の氷河が完全に消失したことがわかり、話題を呼んだ。ベネズエラはカリブ海に面した赤道直下の国だが、国内には標高5000m級の山を抱えるシェラネバダ・デ・メリダ山脈があり、6つの氷河が知られていた。このうち5つは2011年までに消滅。残り一つのフンボルト氷河(別名、ラ・コロナ)が存続していたが、最近の調査ですべて消失したことがわかった。https://rief-jp.org/ct8/145234?ctid=
研究チームは「われわれの推定値は、これまでの評価結果とは地球規模では一致しているが、観測方法の系統的な違いによる大きな地域差も見られた。今回の観測結果は、各地での観測の違いをよりよく理解し、統合されたベースラインを提供するものであり、21世紀を通じて、氷河融解量予測の不確実性を是正するのに役立つだろう」と指摘している。

































Research Institute for Environmental Finance