HOME |太平洋諸島諸国の気候変動対策を支援する「太平洋レジリエンスファシリティ(PRF)」正式決定。来年末までに日米中等が総額5億㌦の拠出を目指す。日本は300万㌦(約4億4000万円)(RIEF) |

太平洋諸島諸国の気候変動対策を支援する「太平洋レジリエンスファシリティ(PRF)」正式決定。来年末までに日米中等が総額5億㌦の拠出を目指す。日本は300万㌦(約4億4000万円)(RIEF)

2025-09-11 17:26:35

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写真は、PRFの立ち上げを正式に決めた太平洋諸島フォーラム首脳会議(PIFLM)への参加首脳たち=ソロモン諸島政府のサイトから引用)

 

  気候変動の影響で海面上昇等の影響を受け続けている太平洋の島嶼部諸国は10日、ソロモン諸島で開いていた「太平洋諸島フォーラム首脳会議(PIFLM)」で、気候変動や災害に対応する資金枠組み「太平洋レジリエンスファシリティ(PRF)」の設立を正式に表明した。PRFには日本や米国、中国が総額1.6億㌦(約230億円)を拠出、初期資本を2026年末までに5億㌦とする。最終的に15億㌦までの拡大を目指すとしている。

 

 首脳会議は同国の首都ホニアラで開いた。今回が第54回目。最大の焦点がPRFの正式立ち上げで、会議では島嶼諸国の代表者らがPRFの枠組みを巡る条約に調印した。今回のPIFLMでPRFの枠組みが決まったことで、同基金は法的に認められた機関となり、今後、継続的に島嶼部諸国の気候変動対策を進める財政的基盤になる。

 

 途上国等への気候適応資金のチャネルとしては、国連主導による「緑の気候基金(GCF)」等の複数の国際基金がある。しかし、それらの基金から助成を得るための途上国間の競争は厳しく、小規模国の島嶼部諸国には十分な資金配分が得られないとの不満があった。今回のPRFは島嶼部諸国のみを対象とし、かつ小規模コミュニティの気候災害や適応策に照準を絞るものとなる。

 

 PRFは構想から7年を経て、2023年11月にクック諸島で開いた第52回PIF首脳会議で採択された。本部をトンガに設置。資金使途は各島嶼部諸国の小規模コミュニティが直面する気候変動による取り組みを支援する、統合型助成投資基金との位置づけだ。

 

 太平洋の島嶼部諸国は歴史的に気候変動の原因となるCO2などの温室効果ガス(GHG)をほとんど排出してこなかったにもかかわらず、気候変動の影響で生み出される海面上昇、暴風雨の増大等による気候災害の犠牲を強いられている。しかし、それらに対応するための気候資金へのアクセスには「資金不足」「対応遅延」「複雑すぎる課題」といった課題が続いている。

 

 今回のPRFはそうした課題の解決を目指すもので、首脳会議を開いたソロモン諸島首相のジャーマイア・マネレ(Jeremiah Manele)氏は「PRFは、島嶼諸国による、島嶼諸国のための取り組みだ。これまでの気候変動基金は、少なすぎ、複雑すぎ、予測不可能だったが、PRFには、われわれのような小国が容易にアクセスできるようになる」と述べている。

 

 PRFは気候変動の適応策を軸として各参加国のコミュニティ支援を中心に行う。島嶼部諸国が中心になって運営・管理するが、オーストラリア、ニュージーランドもPIF加盟メンバーとして参画し、運営をサポートする。対象となる事業分野は、「気候変動・災害レジリエンス」と「社会コミュニティレジリエンス」の2つの柱が中心だ。

 

 前者は、気候適応策、災害予防、災害対応、自然に基づく解決策、損失と損害に焦点を当てた小規模なコミュニティ主導のレジリエンスプロジェクトへの資金提供とする。後者は、持続可能な開発目標(SDGs)におけるレジリエンス要素や、インフラ以外の地域コミュニティレジリエンス事業への投資を通じて、システム全体のレジリエンス強化を目指す、としている。

 

 年内に加盟国との共同設計によるプログラム策定を開始し、2026年までにコミュニティプロジェクト提案の初回公募の準備を整える予定としている。資金調達は、すでにオーストラリア等から約1億5900万㌦を調達済みで、このほか、サウジアラビア、米、中国、ニュージーランド、ナウル、ドイツ、日本などが出資を決めている。今年中に、最初の2億5000万㌦を集め、2026年までに残りを調達して5億㌦を確保するとしている。

                           (藤井良広)

https://solomons.gov.sb/pacific-leaders-sign-historic-treaty-to-establish-pacific-resilience-facility/

https://forumsec.org/pacific-resilience-facility