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動植物の生息域が激減の可能性、温室効果ガス排出継続で(AFP)

2013-05-13 19:03:18

温暖化進むと動植物の生息域半減
 

温暖化進むと動植物の生息域半減
温暖化進むと動植物の生息域半減


【5月13日 AFP】現在のペースで温室効果ガスの排出が継続すると、2080年までに一般的にみられる植物種半分以上と動物種3分の1の生息域が半減する可能性がある──このような研究結果が、12日の英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)で発表された。

 英イースト・アングリア大学(University of East Anglia)の研究チームは4万8786種の動植物を対象に、二酸化炭素(CO2)排出モデルを使って生息域にどのような影響が及ぶかを研究した。この結果、CO2排出量の増大が現在のペースで続けば、温暖化によって開けるかもしれない新たな生息圏へと移動できる可能性を考慮しても、2080年までに植物の55%、動物の35%の生息域が半減するとの結論に至った。

 特にリスクにさらされるのは両生類、爬虫類、植物で、影響を最も受ける地域はサハラ以南アフリカ、中米、アマゾン一帯、オーストラリアとなっている。加えて気候変動によって起こる嵐や干ばつ、洪水、疫病などによって問題は増幅されるという。

 研究を主導したレイチェル・ウォーレン(Rachel Warren)氏は声明の中で、研究は気温上昇の影響のみに基づいているため、おそらく「控えめな評価」になっているとした上で「特に食べ物となる植物の不足と合わせて予測した場合、動物はもっと減るだろう。またこれらの(一般的な)種は水や大気の浄化や洪水の抑制、栄養循環といったことにとって重要なため、人類にも連鎖的に影響を及ぼすことになる」と述べている。

 ただし、温室効果ガス排出量のピークを2016年に迎え、その後毎年2~3%のペースで減り続ければ、2100年時点での温度上昇は2度に抑えられ、現在の傾向が続いた場合に予測される影響の約60%は回避できるという。しかしピークが2021年まで持ち越されてしまうと、2100年時点で2度上昇に抑えるためには毎年6%の排出量削減が必要となり、エネルギー利用の抑制に、より多くの犠牲を払う必要があることが指摘された。

 人類による温室効果ガスの排出によって2100年には、産業革命前の18世紀と比べて地球の気温は4度上昇するとされている。一方、国連が2015年までに結ぼうとしている新協定では、この上昇を2度までに抑えるという目標を採用している。

 

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2943692/10734188