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米大統領の温暖化対策、LNG輸出促進につながるかは不透明(Reuters)

2013-06-26 12:35:25

6月25日、オバマ米大統領が地球温暖化に取り組む新たな行動計画を発表した(2013年 ロイター/Larry Downing)
 

6月25日、オバマ米大統領が地球温暖化に取り組む新たな行動計画を発表した(2013年 ロイター/Larry Downing)
6月25日、オバマ米大統領が地球温暖化に取り組む新たな行動計画を発表した(2013年 ロイター/Larry Downing)


[ワシントン 25日 ロイター] – オバマ米大統領が地球温暖化に取り組む新たな行動計画を発表した。計画には、世界的な天然ガス利用を支持する内容が盛り込まれているが、供給面で米国がどの程度貢献するのかは不透明だ。

現在、日本やインドなどへの輸出許可が下りるのを12社以上が待っている。

25日に発表された計画は、天然ガスをよりクリーンなエネルギーの未来への懸け橋と位置付けており、「国際ガス市場」の発展を促すと予想される。

オバマ政権は、シェールガス生産で最善の慣行を国際パートナーと共有する既存の連邦政府プログラムで目標達成を目指すとしている。

今回の計画には、石炭による発電から天然ガスによる発電にシフトすることや、天然ガスを燃料とする商用車の利用拡大も盛り込まれた。

しかし、エネルギーの専門家は、この計画で米国のガス政策を全て読み取ろうとすべきでないと警告する。

第1期オバマ政権で国務省の国際エネルギー問題責任者だったデビッド・ゴールドウィン氏は「大統領の発言が、液化天然ガス(LNG)輸出政策変更を示唆しているとは思わない」と述べた。

エネルギー省がこれまでに承認したLNG輸出プロジェクトは2件。同省は、審査には慎重を期し、LNG輸出に起因する累積的影響を検討する方針を示している。

 

LNG輸出をめぐっては、製造業界や政界から、急速かつ無制限に輸出するとガス価格を大幅に押し上げ、消費者やエネルギー集約型産業に打撃を与える可能性を指摘する声があがっている。

業界ウォッチャーは、今後さらにLNG輸出基地が認可されると予想しているが、認可の数やペースは不透明。

「政権のコメントは、米天然ガス輸出の将来を示唆しているのでなく、柔軟な国際市場を志向するという長らく維持しているスタンスの一端」と外交問題評議会のエネルギー担当フェローのマイケル・レビ氏は指摘した。

一方、消費者団体などは、輸出支持のサインと受け止めている。

パブリック・シチズンのエネルギー分野の責任者タイソン・スロカム氏は「政権はLNGを推進することで、フラッキング(水圧破砕法)を後押しし、フラッキングがもたらす水質汚染などの環境問題を深刻化させることになる」と指摘した。

(Ayesha Rascoe記者;翻訳 武藤邦子;編集 宮崎亜巳)

 

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPTYE95P01X20130626?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0