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石炭火力発電と長期の温暖化削減目標の「両立」不透明 全発電事業者が答えられず 国の政策の不透明さ反映(KIKO)

2014-08-08 12:32:23

温暖化を加速する石炭火力発電所
温暖化を加速する石炭火力発電所
温暖化を加速する石炭火力発電所


気候ネットワークは、日本国内における石炭火力発電に関する実態把握を進めるため、事業者や自治体における石炭火力発電の位置づけや今後の建設計画について情報収集することを目的に、質問書による調査を実施した。
この度、回答(16件、すべて事業者)の集計とともに分析をまとめ、発表することとした。


アンケートのまとめと概要


 

石炭火力発電と長期的削減目標が両立すると回答した事業者はない。
 しかし7社が建設計画中と回答。coalrogo1


 

 

石炭火力発電と長期的削減目標は両立できると回答した事業者はない。しかし7社が石炭火力発電所の新設を計画しており、石炭を選択した理由は燃料費の安さと安定性にあると回答した。経済と安定性優先の傾向が見られ、環境の観点は最優先されていない。事業者は石炭火力発電の位置づけを再考すべきである。

 

閣議決定事項である2050年80%削減という長期的削減目標との両立については、CCS(炭素回収・貯留)やオフセットによる達成を見込み、家庭部門などでの削減を求める回答が見られた。高効率技術を用いることで環境負荷を低減するなど発電事業自体からの排出の削減について言及したのは2社に止まった。


エネルギー基本計画における石炭の位置づけや、2050年80%削減目標達成の道筋不在が、事業者の方針決定に大きな影響。


 

一部の事業者は、2014年4月11日に閣議決定されたエネルギー基本計画に記された石炭の位置づけを根拠に、自社における石炭火力発電の位置づけを決定したり、石炭の採算性を判断したりしている。

 

また、2050年目標達成のための具体的な道筋が示されていないため、自社における定量的なCO2削減目標が策定できない、石炭火力発電と長期削減目標との両立ができるかはわからないとする回答も見られた。

 

これらのことから、国の方針や施策(または施策がないこと)は、事業者の方針決定や気候変動対策の認識に大きな影響を与えていることが伺える。すでに閣議決定している2050年80%削減に向け、政府はその道筋を定めるべきである。



プレスリリース


プレスリリース:石炭火力発電に関する質問書の調査結果について(2014/8/6)

 

調査結果本文


調査結果本文:石炭火力発電に関する調査結果(2014/8/6)

http://www.kikonet.org/info/press-release/2014-08-06/coal_survey