COP21で「パリ協定」が成立!国際的な気候変動対策にとっての歴史的な合意(WWF)
2015-12-14 21:25:22
2015年11月30日から、フランス・パリで開催されていたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)が、現地時間の12月12日、2020年以降の温暖化対策の国際枠組み『パリ協定』を正式に採択しました。
このパリ協定(ここまでの報告で「パリ合意」と称していたもの)は、京都議定書と同じく、法的拘束力の持つ強い協定として合意されました。初日に150カ国もの首脳たちを集めてスタートしたこの会議は、議長国フランスの巧みな采配もあり、約2週間の会期を1日延長したものの、歴史的な国際合意の採択にこぎ着けることができました。
合意された「パリ協定」
合意されたパリ協定の内容は、全体目標として掲げられている「世界の平均気温上昇を2度未満に抑える(1.5度に抑えることが、リスク削減に大きく貢献することにも言及)」に向けて、世界全体で今世紀後半には、人間活動による温室効果ガス排出量を実質的にゼロにしていく方向を打ち出しました。
そのために、全ての国が、排出量削減目標を作り、提出することが義務づけられ、その達成のための国内対策をとっていくことも義務付けされました。
その中で、目標の形式については、各国の国情を考慮しながら、全ての国が徐々に国全体を対象とした目標に移行していくことも打ち出されています。そして、現状では不充分な取り組みを「5年ごとの目標見直し」によって改善していく仕組みを盛り込みました。
その他、支援を必要とする国へ、先進国が先導しつつ、途上国も(他の途上国へ)自主的に資金を提供していくことや、気候変動(温暖化)によって、影響を受け、損失や被害を受けてしまう国々への支援をするための新しい仕組みも盛り込まれました。
総じて見れば、実質的な排出量ゼロへ向けて、世界全体の気候変動(温暖化)対策を、今後継続的に、強化し続けていく方向が明確に示されたことになり、画期的な国際合意であると言えます。
何より、この会議に集まった196カ国が、団結して取り組んでいく姿勢を示したことに大きな意義があります。
地球温暖化の解決に向けた歴史的な一歩として
気候変動による被害は、着実に世界中で広がっています。
干ばつ、異常気象、海面水位の上昇、感染症の拡大、生物種の絶滅など、取り返しのつかない被害が危惧されています。その被害を真っ先に受けるのは島嶼国や後発開発途上国と呼ばれる貧困層を多く抱える国々ですが、日本も決して例外ではありません。
今回の合意は、そうした気候変動の被害に苦しむ人々や生物・自然を守っていくための貴重な第1歩となるでしょう。しかし、その中で現在日本が掲げている26%削減目標は、十分というには程遠いものです。
まずは、2016年5月の伊勢志摩サミットまでに、国内対策を着実に整備して国際的な対策に協調していく姿勢を打ち出し、2020年にもう一度ある目標提出の機会において、目標を引き上げていくことが重要です。