HOME |2017年の地球の平均CO2濃度、過去最高405.5ppm。増加基調変わらず。1990年からの全放射性物質量は41%増に。WMO事務局長「行動の機会はほとんど閉ざされつつある」と悲鳴(RIEF) |

2017年の地球の平均CO2濃度、過去最高405.5ppm。増加基調変わらず。1990年からの全放射性物質量は41%増に。WMO事務局長「行動の機会はほとんど閉ざされつつある」と悲鳴(RIEF)

2018-11-23 23:31:50

 

 世界気象機関(WMO)は、2017年中の大気中のCO2平均濃度が過去最高の405.5ppm(1ppmは100万分の1)となったと発表した。前年に比べ2.3ppmの増加で、400ppm台は3年連続。増加基調が変わる傾向はなく、長期的に気候変動を高め、海面上昇を進め、海洋の酸性化や異常気象を増やすとみられる。

 

 公表したのは「WMO Greenhouse Gas Bulletin」の最新版だ。大気中のCO2濃度は、2015年に初めて400ppm台に乗せる400.1ppmを記録、次いで2016年は403,3ppmと増えた。CO2よりも温室効果の高いメタンや亜酸化窒素(N2O)等もそろって上昇した。またオゾン破壊物質のトリクロロフルオロメタン(CFC-11)の濃度の低下速度も鈍化していることがわかった。

 

 1990年から比べると、長期的に温暖化効果を持つ全放射性物質全体の増加量は41%増となっている。WMOは、米海洋大気局(OAA)の観測として、このうちCO2がこの10年以上にわたって全体の82%を占めている、と指摘している。

 

温暖化ガスの増加状況(左からCO2、メタン、N2O)
温暖化ガスの増加状況(左からCO2、メタン、N2O)

 

 WMOのペッテリ・ターラス(Petteri Taalas)事務局長は「科学は明瞭だ。CO2やその他の温室効果ガスを速やかに削減しない限り、気候変動は地球上のすべての生命に、次第に壊滅的で不可逆的な影響を与えるようになるだろう。 このままでは行動の機会はほとんど閉ざされてしまう」と警告を発している。

 

 同事務局長は、「前回、地球が同様の温暖化に見舞われた際は約300万~500万年前で、平均気温の上昇は現在より2~3℃高く、海面上昇は10~20mも高かった」と観測結果を説明。現在のわれわれが、そうした方向に向かっていることを伝えた。

 

 人間の経済活動等によって大気中に排出されたCO2などのGHGの4分の1は海洋が吸収し、さらに4分の1は森林などの陸上の生態系が吸収する。しかし、ほぼ半分近くのGHGは大気中にとどまることになる。このうちCO2は大気中に数百年滞留し、海洋に吸収された場合はさらに長く残ることになる。

 

WMO1キャプチャ

 

 WMOの事務次長のエレナ・マナエンコバ(Elena Manaenkova)氏は「現在のところ、大気中に残った過剰なCO2を取り除く魔法の杖はない」と指摘。人類が自力で排出量を抑える以外に温暖化の加速を避けることはできない、と強調している。

 

 来週27日には、国連環境計画(UNEP)が各国の温暖化対策をレビューした「Emissions Gap Report」の最新版を公表する予定だ。WMOの科学データとUNEPの政策分析を踏まえて、12月2~14日にポーランドで第24回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP24)が開催される。

 

 COP24では、先に国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が特別報告で示した地球の気温上昇を産業革命前からの1.5℃以内に出来る限り抑えるための対策交渉が焦点となる見通しだ。

 

https://public.wmo.int/en/media/press-release/greenhouse-gas-levels-atmosphere-reach-new-record