HOME8.温暖化・気候変動 |英ケンブリッジ市議会、子どもたちの「気候変動のための登校拒否」に連帯する形で、市の「気候憲章」を制定。国のカーボン・ネットゼロ目標より大幅前倒しを宣言(RIEF) |

英ケンブリッジ市議会、子どもたちの「気候変動のための登校拒否」に連帯する形で、市の「気候憲章」を制定。国のカーボン・ネットゼロ目標より大幅前倒しを宣言(RIEF)

2019-02-25 23:51:16

Cambridge2キャプチャ

 

 英国のケンブリッジ市議会が、気候変動の緊急事態を宣言する「ケンブリッジ気候憲章」を採択した。スウェーデンの少女が始めた「気候変動のための登校拒否」行動が世界中の子どもたちに広がる中、自治体としての連帯を示した。英国が直面するブレグジットより、気候変動のほうが「緊急課題」と明確に示した形だ。

 

写真は、ケンブリッジ市内を行進する市民団体ら)

 

 英ケンブリッジ市は、イングランド東部の大学都市で、人口12万人強。うち学生が約2万5000人いるとされる。今回の気候憲章は、同市で働く市民や学生、教員ら2100人以上の署名と嘆願書を元に市議会での議論を経て採択された。

 

 同市の環境部門代表のCllr Rosy Moore氏は「市民の署名と嘆願を歓迎する。先週末に多くの地域の子どもたちや若者たちが、ケンブリッジの街中を行進して、気候変動を止め、環境を破壊から守ることを呼び掛けたことを、誇りに思う」と述べた。http://rief-jp.org/ct8/87320

 

ケンブリッジの街は、憲章制定を求める市民グループのアピールで埋め尽くされた
ケンブリッジの街は、市民グループのアピールで埋め尽くされた

 

 Moore氏は、さらに市としても、市の建物やサービスからのCO2排出量削減を推進するとともに、「市民や市の企業等のカーボンフットプリントを低減させるための資金面での支援や低炭素電力の供給等を進めていく」と指摘した。

 

 ただ、同市だけの対策では気候変動は止められない。そこで、カーボンゼロを達成するためには、「国全体でのエネルギーの発電、送配電、使用を根本的に変化させないと達成できない。われわれケンブリッジ市議会として、政府に対して政策転換と、再エネ資源や家庭の省エネ、低炭素公共交通の促進、EVなどの低炭素自動車等への投資拡大を求めていく」と語った。

 

 子どもの「登校拒否」の声を受けて、今度は、大人が、親が、コミュニティの市議会に対応を求める。次に、その市議会は、国に整合性の取れた対策の前倒しを求めるーー。子どもの声が、少しずつ、社会を動かし始めたようだ。

 

Extinction Rebellion hands in petition to council environmental officer Rosy Moore. Picture: Derek Langley

 市議会のRosy Moore氏に署名と嘆願書を渡す市民たち

 

 市民の嘆願書は、現行の2050年にカーボン・ネットゼロを掲げる政府目標は遅すぎるとして、ケンブリッジ市には2025年のネットゼロを目標として導入することを求めている。

 

  市議会の「気候憲章」採択に対して、署名活動を展開してきた市民団体は、「政治家はこれまであまりに長い間、気候政治をゲームとして演じてきた。その結果、われわれ市民を破滅的な気候変動に直面させている。現状通りの政治(Politics-as-usual:PAU)は緊急事態に直面し、もはや機能しない」と皮肉っている。

 

 「ケンブリッジ気候憲章」は、市内のすべての組織、企業、個人に向けて、市のカーボンネットゼロを達成するために、それぞれ自分のカーボン削減計画を立案することを呼び掛けていいる。市議会は2020年までに市内のタクシーに20台以上の電気自動車(EV)の導入を含めた対策を立案している。

 

 日本では、最近、子どもを親が虐待する事例が相次いでいる。また沖縄の辺野古移設反対の県民投票で県民の意思が示されたが、国は聞く耳を持たないようだ。日本が、子の声を聞き、民意を真摯に聞く、という民主主義の基本原理が機能しない国の一つだとすれば、寂しい限りだ。

 

ttps://www.cambridgeindependent.co.uk/news/cambridge-city-council-declares-climate-emergency-9062728/