HOME10.電力・エネルギー |WWFの「産業別温暖化対策評価第11弾」、CO2排出量の多い鉄鋼、電力・ガス、石油・石炭等の「素材・エネルギー産業」。評価1位は東京製鐵、2位フジクラ、3位東京ガス(RIEF) |

WWFの「産業別温暖化対策評価第11弾」、CO2排出量の多い鉄鋼、電力・ガス、石油・石炭等の「素材・エネルギー産業」。評価1位は東京製鐵、2位フジクラ、3位東京ガス(RIEF)

2019-08-31 00:38:32

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 環境NGOのWWF Japanは、産業別温暖化対策評価の第11弾として、CO2排出量の多い「素材産業・エネルギー企業」を中心とした電気・ガス業、石油・石炭製品、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、鉱業の6業種を評価した。 最高点は鉄鋼業の東京製鐵(83.33点)。鉄鋼業全体は低調だったが、電炉の同社は2050年に排出量を約50%削減目標等を掲げている。次いで非鉄金属のフジクラ、3位は東京ガス。

 

 調査・評価に際しては、各社の2018 年発行の環境報告書、統合報告書等で示されている温暖化対策情報を対象とした。その中で「目標 および実績」と「情報開示」を合計21の評価指標でスコアをつけた。さらに長期目標、再エネ目標など重要7指標には加点する配分とした。

 

 今回の対象6業種の評価企業は44社。業種別の「目標 および実績」では、「非鉄金属」、「石油・石炭製品」の2業種が「温室効果ガス(GHG)削減量の単位(総量または原単位)」の得 点が高く、「電気・ガス業」では「再エネ目標」の設定企業が多かった。

 

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 しかし、CO2排出量の多い「鉄鋼」、「鉱業」の両業界では、多くの企業が自社のGHG削減目標を設定していなかった。全体1位の鉄鋼業の東京製鐵は業界2位の日立金属(54.9)9)を30点近く上回った。業種対応というより、同社独自の経営判断の高さが高評価につながったようだ。

 

 「情報開示」では「電気・ ガス業」、「石油・石炭製品」、「非鉄金属」、「金属製品」の得点が高かった。特に「石油・石炭製 品」は情報開示に属する「ライフサイクル(LC)全体での排出量の把握・開示」、「第3者評価」の両指標で、ともにほぼ満点だった。

 

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 パリ協定に沿った長期的ビジョン( 2050 年あるい はそれ以降)を掲げ、整合性のある目標設定を行っていると評価された企業は、東京製鐵、東洋製罐グループホールディングス、フジクラの3社。

 

 国内でGHG排出量が最大の「エネルギー転換部門」の排出割合の大きい「電気・ガス」業は業種全体としては過去の調査業種と比べても、平均かそれを上回った。市場の情報開示要求の反映と思われる。ただ、点数が良かったのは東京ガス(69.1)などの「ガス」3社(平均60.6点)で、「電気(電力)」は(10社平均50.1点)にとどまった。

 

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 全体的に低い電力の中で、九州電力(61.2)は「情報開示」の2指標で満点を得るなど、他の電力を上回った。また業種平均と比較して「再エネ目標」が高かった。

 

 東京ガス(69.1)は、業種平均と比べ「削減量の単位」、「省エネ目標」、 「GHG 総量目標の難易度」の得点が高かったほか、ガス事業社の中で唯一総量目標を掲げた点も評価された。これは東京都の総量規制条例に対応して設定したもので、WWFは「自治体の取り組みが企業を後押しした好事例」と評価している。

https://www.wwf.or.jp/activities/data/climate01.pdf