HOME5. 政策関連 |イタリア、「気候変動」の授業を、全国の学校で義務化。来年9月の新学期から適用。他の数学、地理等の授業にもサステナビリティと気候変動の観点を盛り込む。教育大臣が言明(RIEF) |

イタリア、「気候変動」の授業を、全国の学校で義務化。来年9月の新学期から適用。他の数学、地理等の授業にもサステナビリティと気候変動の観点を盛り込む。教育大臣が言明(RIEF)

2019-11-11 18:26:30

Lorenzo1キャプチャ

 

  イタリアの教育大臣のLorenzo Fiorfamonti氏は、来年から同国のすべての公立学校で、「気候変動」についての授業を週1回(1時間)実施することを義務付けると言明した。気候変動の授業を義務化する国は同国が初めてとなる。

 

 同氏は42歳。南アフリカのPretoria大学で経済学教授をしており、9月の選挙で発足した政党「5つ星運動」と中道左派の民主党(PD)の連立によるコンテ政権で教育相に就任した。同氏は「5つ星」の所属だ。

 

 同氏は政権入りする前から、環境問題での思い切った発言で注目を集めていた。今年初めには、スウェーデンのグレタ・ツゥーンベリさんが始めた「気候変動対策を求めるストライキ(授業放棄)」への子どもたちの参加を容認。保守派と論戦するなど、現内閣でもっともグリーン政策に熱心な政治家として知られる。

 

「気候変動」の授業をしっかり学んで、未来を見据える
「気候変動」の授業をしっかり学んで、未来を見据える

 

 同氏によると、すべての生徒は年間33時間、週1時間の気候変動に関する授業を、来年9月の新学期から受講することになる。さらに、伝統的な地理や数学、物理学などの授業についても、持続可能な発展の観点から学ぶようにカリキュラムを改正するという。

 

 「教育省全体がサステナビリティと気候変動を、教育モデルの軸に据えるように改革していく。私は、イタリアの学校で学ぶすべてのことの中心に、環境と社会の重要性を据えた世界で最初の教育システムとなるように改めていきたい」と意気込んでいる。

 

 同氏は歯に衣を着せぬ発言を再三展開、保守的な政党や層から、批判を受けることが多い。例えば、イタリアの学校は各教室に十字架を掲げているが、非カトリックの生徒をもっと環境問題に取り組ませるために、カトリックの象徴である十字架を除去したほうがいいと発言、物議を呼んだ。

 

元経済学教授だが、GDP型の経済成長を否定
元経済学教授だが、GDP成長型の経済成長を否定

 

 現在のコンテ政権の中でも、同氏は教育予算を確保するために、航空券課税や、プラスチック、砂糖飲料課税等を提案、保守層や重税負担を批判する向きと論争している。しかし、現政権は同氏の提案を受けて、2020年予算案にプラスチック税と砂糖飲料税を提案している。

 

 同氏は「甘い飲料水や海洋汚染を引き起こすプラスチック容器、航空券などに課税することは、イタリア人の70~80%に支持されている。そうした消費活動は、環境にも、個人の健康にも決して良くない。それらに課税して得る財源を、教育や、福祉、所得税引き下げに回るべきだ」と指摘している。

 

https://www.independent.co.uk/news/world/europe/italy-climate-change-lessons-school-environment-global-warming-children-a9187216.html