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アフリカの世界遺産、「ビクトリアの滝」、温暖化の影響(?)で、大瀑布が消え、滴(しずく)に(RIEF)

2019-12-09 23:48:21

 

 アフリカのザンベジ川にかかる世界遺産のビクトリアの滝が、過去例のないほどの渇水の影響で、「滴(しずく)のような」水量になった、として話題を呼んでいる。滝の幅は雨期には最大1700m、落差は108mの壮大な水量を誇る。観光客も大失望で、現地の観光収入にも影響が出ている。

 

 同滝はジンバブエとザンビアの国境を流れる。南米のイグアスの滝、北米のナイアガラの滝と並ぶ世界3大瀑布として知られる。ザンベジ川流域は11月末から4月初めまでが雨季で、それ以外の時期が乾季。滝の水量はそれに2か月遅れで変化するという。

 

 ところが今年は100年来、最悪の渇水の影響などで、地元の人々は「温暖化が最大の観光の魅力を殺してしまった」と嘆いている。毎年数百万人が世界中から同滝を見物に訪れるが、滝の“変貌ぶり”をインターネットで事前に調べる人が多く、観光客は激減しているという。

 

通常なら、今の時機の水量はこれくらい
通常なら、今の時期の水量はこれくらい

 

 観光への影響だけではない。滝の下流にあるジンバブエ川のダムも貯水量が激減し、水力発電ができない状態に陥っている。このため、ジンバブエとザンビアの両国は、電力供給を制限しているという。同川を管理する「ザンビア河川機関」のデータによると、滝の水量はデータが整備された1995年以来最小で、長期的な平均よりもはるかに少ないという。

 

 ザンビア大統領のEdgar Lungu氏は「温暖化が我々の環境に及ぼす影響が示された正真正銘の証拠だ」と指摘している。ただ、今回の滝の水量の激減が、温暖化の影響か、季節的な変動かについては、専門家の間でも議論が分かれている。

 

 今年のジンバブエは、同国史上最悪規模の干ばつに見舞われているのは間違いない。野生動物への影響も深刻で、最近の2か月だけで少なくとも120頭のゾウが死ぬなどの被害が出ている。このため同国国立公園・野生動物保護庁では、ゾウやライオン、キリン、インパラなどの野生動物を、干上がった地域から比較的水が確保し易い地域に移送するなどの活動を展開している。

 

 国連は、干ばつにより、ジンバブエの人口の3分の1近くの農村部の500万人以上が来年の収穫を前に食料不足の危機にさらされていると警告している。

 

 他のアフリカ諸国にも影響が及んでいる。南アフリカ政府が3日発表した今年第3・四半期のGDP伸び率は前期比年率0.6%減となり、前期の3.2%増の成長から一気にマイナス成長に転落した。特に農業部門が干ばつで受けた打撃が大きかったという。

 

https://www.theguardian.com/world/2019/dec/07/victoria-falls-dries-to-a-trickle-after-worst-drought-in-a-century?utm_term=RWRpdG9yaWFsX0dyZWVuTGlnaHQtMTkxMjA5&utm_source=esp&utm_medium=Email&CMP=greenlight_email&utm_campaign=GreenLight