HOME8.温暖化・気候変動 |2019年の世界の気温は過去二番目の暑さ。EUの気象衛星観測サービス「C3C」が公表。産業革命前からの気温上昇余力は「1.5℃目標」に対して残り0.3~0.4℃だけ。CO2濃度も最高に(RIEF) |

2019年の世界の気温は過去二番目の暑さ。EUの気象衛星観測サービス「C3C」が公表。産業革命前からの気温上昇余力は「1.5℃目標」に対して残り0.3~0.4℃だけ。CO2濃度も最高に(RIEF)

2020-01-10 22:07:25

CNC2temp2019

 

  EUの気象衛星観測による「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」は、2019年の世界は観測史上2番目に暑い年で、2010~19年も観測史上最も暑い10年間だったと発表した。2019年の世界の気温は、1981~2010年の平均を0.6度、産業革命以前の水準を1.1~1.2度上回った。

 

 C3Sの公表データによると、2019年の世界の平均気温は、100年に1度の規模のエルニーニョ(El Nino)現象の影響で気温が0.12℃押し上げられたことで、観測史上最も暑い年だった2016年の記録に0.04℃差まで肉薄した。地域別では、欧州は観測史上最も暑い年だった。

 

 Copernicus Atmosphere Monitoring Service (CAMS)のデータでは、大気中の炭素濃度は2019年も増加を続け、観測史上最高を記録した。CO2濃度は前年比2.3 ± 0.8 ppm。現在のCO2濃度は、少なくともこの80万年間で最高のレベルが続いている。これらのデータは世界気象機関(WMO)の推計と同基調となっている。

 

世界の気温上昇の推移
世界の気温上昇の推移

 

 これまで気温がもっとも高かった上位5年はいずれも、2019年を含む過去5年間に集中している。この5年間の平均気温は、IPCCが定義した産業革命前からの気温に比べて1.1~1.2℃の上昇となる。パリ協定が目指す「1.5℃目標」には、残り0.3~0.4℃、「2℃目標」に対しても、残り0.9~0.8℃しか余裕がないことになる。

 

 地域別では、アラスカや北極圏の主要な地域での気温上昇が際立った。大部分の陸地の気温は平均値よりも高く、特に東欧、南欧、アフリカ南部、オーストラリアでの気温上昇が目立った。これに対して、カナダの中央・南東部では平均気温を下回った。

 

 欧州はシーズンを通して通年よりも気温が高かった。季節ごとの平均気温では夏と秋がともに過去4番目の暑い季節だった。平均気温ベースでは過去最高の季節はなかったが、一年間全体でみると、過去もっとも暑い年となった。  

 

 C3Cの代表、Carlo Buontempo氏は「2019は、新たな暑い年だった。世界全体は過去二番目の暑い年で、月によっては過去最高の記録を出した」と説明している。

https://climate.copernicus.eu/copernicus-2019-was-second-warmest-year-and-last-five-years-were-warmest-record