HOME9.中国&アジア |キリンホールディングス、ミャンマーの合弁事業の保有株を、合弁会社の自己株式取得の形で売却。売却額約205億円。ミャンマー事業からの撤退完了(RIEF) |

キリンホールディングス、ミャンマーの合弁事業の保有株を、合弁会社の自己株式取得の形で売却。売却額約205億円。ミャンマー事業からの撤退完了(RIEF)

2023-01-31 21:30:34

a57fe75f9609d0c6f5b05c014f229381

 

 キリンホールディングスは昨年6月に公表していたミャンマーでの国軍系企業との合弁のビール製造事業からの撤退方針について、このほど、ミャンマー政府からの承認を得て法的手続きが完了したと発表した。1月23日付で、合弁子会社の保有株を全額、合弁企業(MBL)に売却(自己株式取得)した。譲渡価格は日本円で約205億円。

 

 (写真は、キリンがミャンマーで拠点としていたビール製造工場)

 

 キリンがミャンマーで設立していた合弁子会社は、1995年に国軍系企業のミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)と合弁で設立していた。キリンが持分の51%を、MEHLが49%を保有していた。

 

 しかし、2021年2月に国軍がクーデターを起こし、各地で民主主義を求める住民らと対立。国軍による住民側への人権侵害等への批判が国際的にも高まる中で、欧米企業を中心にミャンマーからの撤退が続いている。キリンのMBL事業の継続を巡っては、当初、キリンとMEHL側が対立、MEHLはMBLの清算をヤンゴンの裁判所に申し立てる一方で、キリンは合弁解消を求めてシンガポール国際仲裁センター(SIAC)に仲裁を提起し、相互の対立が続いていた。https://rief-jp.org/ct11/122431

 

 その後、仲裁の見通しも不明な状況が続くことから、キリンは昨年2月に事業からの撤退を決め、ビール合弁会社MBLの保有株式を第三者企業に売却する方針を打ち出していた。今回、キリンのの保有株を第三者ではなく、MBL自身が自己株式取得の形で買い取ることで合意とした。

 

 MBLの従業員に対する補償として、従業員が他の企業等への転身を図ることを認める①職業選択の自由の確保②1年間給与等の処遇の不利益変更の禁止③MBL従業員に対する3か月分の給与相当分の支給、の3条件で合意している。このうち③については、キリン側が保有株を譲渡する前にすでに実施済みとしている。

 

 ミャンマー事業からの撤退に伴う業績への影響については、資本の部に計上されているミャンマー事業から生じた在外営業活動体の換算差額約190億円を、子会社株式売却損として「その他の営業費用」に振り替える予定としている。

https://pdf.irpocket.com/C2503/fhjD/E0OD/FKQW.pdf