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MS&ADインシュアランスグループ、全世界の自然災害リスクを90m四方で予測できる「TCFD向け物理リスク評価サービス」開始。米AIスタートアップと連携(RIEF)

2020-07-08 15:24:34

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  三井住友海上火災等を抱えるMS&ADインシュアランスグループホールディングスは気候変動による全世界の自然災害リスクを、90m四方の単位で評価し、可視化するサービスを始めた。米企業のJupiter Intelligenceと連携、TCFDによる気候関連財務情報開示を求められる企業向けに提供する。

 

 グループ企業のMS&ADインターリスク総研がJupiterと連携する。提供するサービス名は「TCFD 向け気候変動影響定量評価サービス」。Jupiterは、気候変動に伴い甚大化が想定される洪水や風災等の自然災害リスクを、全世界を対象にして90m四方単位の精度で分析するシステムを開発している。

 

  Jupiter社は通信衛星データを含む多様なデータを収集し、AI分析によって自然災害発生を予測できる天候分野のスタートアップ企業。社員にはノーベル受賞機構である IPCC1の研究者や、70か国で使用されている世界的に有名な海洋循環モデル(“Princeton Ocean Model”)の発案者などもいる。MS&ADグループは2019年に出資している。

 

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 Jupiterのシステムは、過去の災害事例の統計処理を通して複数のシナリオを用意し、100年超の超長期予測のほか、2020年から2100年までの間で5年刻みで予測する。対象の自然災害も、洪水、高潮、風災、熱波など多様に対応できる。それらの災害で予想される浸水深や最大風速などの指標を算出。洪水、高潮については、分析結果をもとに財務影響を概算できるという。

 

 インターリスク総研は、同システムを活用して、顧客企業が各地に展開する事業拠点の位置情報をもとに、気温上昇ごとのシナリオ、時間軸、再現期間での各種災害指標/財務影響を高精度でシミュレーションを行い、物理リスクを定量的に把握したサービスを提供する。

 

 MS&ADは「多くの企業は、自社に影響を及ぼす気候変動リスクを正確に把握できていないため、財務への影響について十分な開示が行われていないのが現状。企業が開示すべき気候関連の財務情報としては、自然災害の影響の算出に加え、その影響が事業活動にどのくらいのインパクトを与えるか、総合的かつ長期的な時間軸のなかで算定し、投資家に明示することが求められている」と指摘している。

 

https://www.ms-ad-hd.com/ja/news/news_topics/news_topics414393970768482070702/main/0/link/200707_jupiter.pdf

https://jupiterintel.com/