HOME |燃料費高騰で薪ストーブが復活、米国(National Geographic)  原発よりコストは安い 温暖化抑制にもプラス |

燃料費高騰で薪ストーブが復活、米国(National Geographic)  原発よりコストは安い 温暖化抑制にもプラス

2012-10-24 07:18:23

 燃料油の価格が上昇しているアメリカでは、支出を節約しようと薪で暖をとる世帯が増えている(写真は薪を車に運ぶマサチューセッツ州の男性)。
この冬、多くのアメリカ国民が高い暖房費に身構えることになるだろう。しかし、ニューイングランドの凍えるような冬が、エリック・フェイ(Erik Fey)、キャスリーン・ラティ・フェイ(Kathleen Rutty-Fey)夫妻の財布を凍り付かせることはない。フェイ夫妻は高価な石油やガスへの依存を減らし、最近人気の伝統的な燃料、木材に切り替えた多くの世帯の一つだ。

 燃料油の価格が上昇しているアメリカでは、支出を節約しようと薪で暖をとる世帯が増えている(写真は薪を車に運ぶマサチューセッツ州の男性)。


フェイ夫妻はニューハンプシャー州の自宅を暖めるため、薪ストーブを使ってみた。持続可能な固形燃料、木質ペレットを試し、そのまま続けている。「すぐに虜になった」とキャスリーンさんは振り返る。「製材の余りや間伐廃材を利用しているというのも理にかなっている。何よりも環境に優しいし、決断して良かった」。

 ペレットは薪より火付きが良く、火力が強いという利点もある。家庭の暖房に高効率な木の利用を推進する非営利団体(NPO)、アライアンス・フォー・グリーン・ヒート(Alliance for Green Heat)のジョン・アカリー(John Ackerly)氏は、「汚染物質の排出もはるかに少ない」と話す。「水分が少なく、密度の高い安定した木材製品だ。一方、薪は品質が不安定だ。水気を含んだ薪をストーブで燃やせば、大量の汚染物質が排出される」。

 しかし、フェイ夫妻にとって最も大きな利点はおそらく、暖房費を大幅に節約できることだろう。

 エリックさんは10月中旬、燃料油の業者とフェイ家の消費量について話したばかりだという。夫妻は275ガロン(1040リットル)タンク1つ分の燃料を1年で使い切らない。ニューハンプシャー州の現行の相場、1ガロン3.75ドル(約300円)で計算すると、年間725ドル(約5万8000円)しか使わないことになる。一方、毎冬のペレット消費量は6トンだ。1トン213ドル前後(約1万7000円)とすると、計1280ドル(約10万2000円)になる。両方足しても年間の暖房費は2000ドル(約16万円)で済む。「年間5~6回購入する人もいると、業者は言っていた。もし燃料油を今の5倍使ったら、5000ドル(約40万円)くらい掛かってしまう」とキャスリーンさんは話す。

◆人気に火がついた木のストーブ

 フェイ夫妻のような家族はほかにもいる。伝統的な暖房用燃料に回帰するケースが多く、現代的な省エネルギー型のペレットストーブが人気だ。政府のエネルギー予測機関は10月、毎年発表している「冬期燃料概観(Winter Fuels Outlook)」に薪とペレットの分析を初めて盛り込むことになった。

 米国エネルギー省エネルギー情報局(EIA)のアナリスト、チップ・ベリー(Chip Berry)氏が担当する住宅エネルギー消費調査(RECS)では、アメリカの住宅で使われている暖房に関するデータを提供している。最新(2009年)のデータによれば、約12%の世帯が主に燃料油やプロパンガスを補うため、木材を燃料として使用しているという。

 木材の使用は1980~1990年代の20年間に減少の一途をたどった後、この10年で増加に転じたと、RECSには書かれている。「2009年の調査結果を見る限り、木材は多くの世帯で重要な熱源であり、消費量も燃料油に近づいているようだ」とベリー氏は分析する。

 ベリー氏はさらに、「国勢調査では、木材を主要な熱源として使っている世帯は2005年の187万から2011年の247万まで増加したと推定している」と補足する。

 その多くは単純に薪や廃材を燃やしている。EIAの統計によれば、ペレットを使っている世帯はわずか6%ほどだ。しかし、ペレットは薪より環境に優しいとアカリー氏は話す。ペレットは、製材所で出たおがくずや端材、間伐の廃材から製造する。「わざわざ木を伐採するようなことはない」とアカリー氏は説明する。

 EIAは2012~2013年の冬、石油やガスは前年と同価格で推移すると予測している。ただし、1年前はアメリカの大部分で暖冬だったので、この冬は燃料消費量が増える可能性が高い。EIAによれば、暖房費は15%以上増える見通しだという。

 

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20121023002&expand#title