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「緑の党」 国政へ手探り(東京新聞) 欧州モデルを日本で実現できるか

2012-11-06 09:21:50

予備選に向けて開かれた緑の党の公開討論会=先月30日、千葉県松戸市で
脱原発勢力の国政参入に向けた動きが加速している。中でも七月に発足した「緑の党」は、来夏の参院選に出馬する比例代表候補擁立にいち早く乗り出した。予備選を展開するなど「市民発」のやり方で既成政党との違いを強調する考えだが、議席獲得には支持の枠を広げることが不可欠。全国の脱原発勢力がどこまで連携できるかが課題だ。 (宇田薫)

予備選に向けて開かれた緑の党の公開討論会=先月30日、千葉県松戸市で





 千葉県松戸市で十月三十日に開かれた緑の党の公開討論会。予備選の立候補者三人と党会員ら約二十人が小さなテーブルを囲んだ。インターネット情報で足を運んだ一般市民もいた。討論会というより、身近な話題を話し合う井戸端会議の雰囲気が漂っていた。




 だが、始まると参加者は「原発即時ゼロと言うのは簡単だが、立地県の人をどう納得させるのか」「日米安全保障条約解消など平和への方針は素晴らしいが、現実的なのか」と率直な質問をぶつけた。立候補したのは地方議員や市民活動家だが、答えに詰まる場面もあった。




 同県流山市のNPO法人役員磯野よう子さん(50)は「説得力が足りない部分もあったけど、もまれて育ってほしい」と候補者にエールを送った。ある候補者は「緊張したが、いい刺激になった」。




 緑の党は欧州諸国の「緑の党」をモデルに全国の地方議員らで結成。党会員約八百人が予備選に投票し、二十五日に公表される。事務局は予備選について「目指すのは古い政治システムを変え、多様性と本当の民意を反映する草の根民主主義だ」と強調する。




 民主党や自民党では、公募による候補者選考をうたいながら、実際には世襲や支持団体からの推薦で決まる事例も多い。緑の党の予備選には「しがらみ」はなく、党会員の投票結果のみで決める。候補者の半数以上を女性とする「クオータ(人数割り当て)制」を採用したのも特徴で、国会で圧倒的に少ない女性議員の進出を後押ししたい狙いがある。




 ただ、参院選の比例代表で一議席を獲得するには、党名と候補者名を合わせて百万を超える得票が必要とされる。現状の組織力では、あまりに高い「壁」だ。今後、各都道府県に選挙実行委員会をつくるほか、震災後に各地で発足した地域団体などと連携を模索しながら活路を開きたい考えだ。




 参院には、脱原発を掲げる女性参院議員四人の会派「みどりの風」がある。メンバーの谷岡郁子氏は緑の党と連携する可能性に関し「同じ“みどり”を掲げる身として、一緒に何らかの関係をつくることはできると思うが、タイミングが重要だ」と話している。

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012110602000124.html