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日本IBM リストラ巡り社員に「ブラック企業」と指弾される (ガシェット通信) かつての“優良企業”が・・・・

2012-11-30 00:50:12

IBM
労働組合から「ブラック企業のメダリスト」との汚名が着せられている企業がある。社員の大量解雇が囁かれている日本IBM(アイビーエム)だ。「これまでに100人以上が解雇通知を受け取り、9月の1か月だけで200人という大量の退職者が出たと言われている。現在1万4000人いる社員は、いずれ1万人程度、そして最終的には5000人規模にまで縮小されるとの噂も社内で飛び交っている」(IBM社員)

 現在、日本IBMではドイツ法人で大幅な人員削減を成し遂げ、“コストカッター”の異名を取るマーティン・イェッター社長指揮の下、事業整理や新たな顧客獲得などの経営改革を進めている。前出の社員によれば、その過程で余剰人員の削減を急いでいるのでは? と経営陣に対する社内の不信感が高まっているのだという。

 強引な解雇手法も、労使間のもつれを大きくしている。終業時刻間際に別室に呼び出され、紙切れ1枚の「解雇通知書」を読み上げられた末にそのまま職場から締め出される――。いわゆる“ロックアウト型”の荒々しいリストラ手法は、『NEWSポストセブン』でも既報の通り(10月17日)である。

 IBMに噴出する労働争議は解決の糸口を見出せないまま、司直の手に委ねられた。10月15日に同社社員3人が不当解雇撤回を求める訴訟を起こしている。年末から始まる公判を前に、11月27日には原告をはじめ、組合関係者ら350人以上が都内ホールで大規模な集会を開いた。

<許すな!「解雇自由化」ブラック企業のメダリストIBMの大量指名解雇に反撃する大集会>

 と題された集会では、IBM訴訟の原告らを支援する日本金属情報機器労働組合(JMIU)の関係者らが、相次いで社内の惨状を訴えた。

「会社は就業規則の解雇要件に該当するというばかりで、その具体的内容の説明を一切拒否しています。こんなIBMのやり方がまかり通れば、他の日本企業にも『解雇の自由化』が一気に広まってしまう恐れがあるのです」(JMIU幹部)

 これまでも多くの企業で「成績不良」を理由にした解雇が横行しているが、その度に争点となってきたのが労働契約法に照らした判断基準である。

「裁判にでもなれば、ひたすら労働者の成績不良や勤務態度の悪さをあげつらう会社側と、経営に支障をきたすほどではないので『解雇権の濫用だ』とする労働者側の主張が平行線をたどり、長期化するケースが多い。裁判が長引けば会社のイメージダウンも大きいので、ほとんどの“人減らし企業”が退職勧奨や配置転換で自主退職に追い込む手法を使うのです」(人事コンサルタント)

 同社の広報部は一連のリストラ手法について、「係争中なのでコメントできない」としているため、会社側の主張は裁判の行方を見守るしかない。

 だが、IBMのようなドロ沼劇は、他の日本企業にとっても決して対岸の火事ではない。

「例えば、業績不振に喘ぐ日本の電機業界では、全体で13万人といわれる大規模なリストラの嵐が吹き荒れています。いまや事業の再編に海外メーカーの存在も大きくなる中、IBMのようにいつまでも人材の再配置や流出をめぐってモメているようでは、再建のスピードは遅れるばかり。ますます中国や韓国勢に水を開けられてしまうでしょう」(前出・コンサルタント)

 


 

< 日本IBM指名解雇の一部始終 30分で退社迫るロックアウト型>

「5月にドイツ人社長が来てからというもの、社員はみな恐怖政治に怯え、いつクビ切りされるか分からないとビクビクしていますよ」

 こう声を潜めるのは、日本IBMで働く40代の技術職社員。ドイツIBMで「コストカッター」の異名を取ったマーティン・イエッター社長は、日本でも大規模なリストラを断行するのではないかとの憶測に、「それはプレスが言っているルーマー(噂)だ」と答えているが、すでになりふり構わぬ「指名解雇」事例は続々と明るみになっている。

 10月15日、成績不良を口実に解雇されたとして、40~53歳の元社員3人が解雇無効と賃金の支払いを求めて東京地裁に提訴した。

 7月に解雇通告されたというAさん(元営業支援部門)の状況を聞くと、いかにIBMが強硬なクビ切り策をしているかが分かる。

■7月20日(金)午後5時に直属の上司に呼び出される。上司とは直前まで翌週の仕事の打ち合わせをしていたので、その続きを別室で行うのだと思い席を立つ。

■会議室に行くと、なぜか上司が部屋をノックする。中に誰かいるのだと気付き、入室すると部門長と人事担当者が書類を開いて座っている。上司は「連れてきました」とだけ言い残し、そそくさと会議室を後にする。

■部門長にうながされるまま着席すると、書類を入れた封筒を渡され、「中身を見てください」と言われる。

■封を開けると、「解雇予告通知」および「解雇理由証明書」が入っている。呆然として内容を確認する(以下、要旨)。
<会社は、貴殿を2012年7月26日付で解雇します。貴殿は業績が低い状態が続いており、その間、会社は職掌や担当範囲の変更を試みたにもかかわらず業績の改善はなされず、会社は、もはやこの状態を放っておくことができないと判断しました>

■キツネに抓まれた思いで「なぜ解雇なのか?」を問うと、人事担当者は「まぁ、聞いてください」と文面を事務的に読み上げ、具体的な解雇理由の説明もないまま一方的に終了。

■会議室を出される際、「上司が付き添うので、(終業時刻の)5時36分までに会社を出てください」と通告され、呆然としたまま退社。

■翌週、改めて事情を聞こうと出勤すると、入館証が使えず社内に入れない。受付で上司を呼び出そうとしても、「上司、その他におつなぎできないことになっています」と回答される。

 わずか30分足らずの間に解雇通告を見せられ、会社から締め出されてしまう、いわばロックアウト型の“即日指名解雇”である。Aさんは「25年以上もの毎日、熱意を持って働き続け、家族設計も行っていた私には、とても受け入れられません」とコメントする。

 Aさん同様に大阪の事業所にて解雇通告を受けたBさんは、あまりのショックに会議室で卒倒してしまったという。救急車すら呼んでもらえず、ソファーに寝かされ、しまいには上司付き添いの帰りのタクシー内で、「明日から会社に来なくていいから……」と、意識が朦朧とする中、念を押されたという。

「会社は7月に1人、9月に9人、10月に1人の合計11人に解雇通知をしています。みな『成績不良』が解雇理由ですが、具体的な事例は説明を拒否しており、真の理由は人員削減計画に沿った人減らしであることは明らかです。現在1万4000人いる従業員を3年間で1万人まで削減する計画を持っているという噂も聞きますしね」(労働組合幹部)

 同幹部によると、解雇通知書を突き付けられた社員の中には、「解雇予告手当」として1か月分の給与の振り込み通知のほか、指定の期日までに自ら退職する意思を示した場合は、「退職加算金の提示」をチラつかされた人もいるという。

 日本IBM広報部にリストラの実態について聞いてみると、

「(解雇は)就業規則に基づいての措置。日々、技術が進歩しているIT企業なので、それに合わせて社員のスキルも高めていかなければなりません。その中で社員の入れ替えは行っていますが、リストラではありません」

 との回答。雇用条件がシビアな外資系とはいえ、裁判の行方次第では日本企業を取り巻く労働環境にも思わぬ影響を与えかねない。