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復興途上 町政大揺れ 双葉町長の不信任可決 町民、停滞を懸念(福島民報)

2012-12-21 20:21:32

井戸川町長への不信任決議を固唾(かたず)をのんで見守る町民ら
井戸川町長への不信任決議を固唾(かたず)をのんで見守る町民ら


福島県双葉町議会で井戸川克隆町長(66)の不信任決議案が提出された20日、8人の全議員が中間貯蔵施設などをめぐる対応で町長に「信任NO」を突き付けた。町長の辞職か失職、町議会の解散-。いずれにしても選挙は不可避な情勢に傍聴人をはじめ、県内外で避難生活を送る町民には町政の停滞や復興の遅れへの懸念が広がった。一方で、町政の混乱が解消し協議進展を期待する声も出た。

 「本決議案の通り決定することに賛成の方は起立願います」。進行役の佐々木清一議長(64)も含めて8人全員が起立。全会一致で可決すると、傍聴席はどよめいた。

 双葉町議場となっている埼玉県の加須市騎西総合支所3階は20日朝から多くの町民や報道関係者が詰め掛けた。約40席ある傍聴席はほぼ埋まり、議場外の通路にまで人があふれた。

 不信任決議案を提出した岩本久人議員(55)が不信任決議案を読み上げると、井戸川町長は目を閉じた。

佐々木議長を含め全員が起立し、不信任決議案に賛成する双葉町議


 井戸川町長への不信任決議案は6月、9月の定例議会でも提出された。いずれも役場機能本体を県内に移転させる対応などが原因だった。6月は7人が出席し、賛成5人、反対2人、9月は8人が出席し、賛成4人、反対4人でいずれも否決された。

 岩本議員は過去2回の不信任決議案に反対してきた。しかし今回は井戸川町長が県と双葉郡町村長との協議会を欠席したことを批判。「独断で決め、不信感があった。一連の行動は町民が理解できない背信行為。責任の放棄と受け止めた」と厳しい表情で語った。

 6月定例議会を欠席した佐々木議長も9月定例町議会では不信任決議案に反対。今回は賛成に回った。岩本議員と同様、県と双葉郡町村長との協議会欠席を理由に挙げ、「町村会長としても町長としても出席し、はっきり意見を言うべきだった」と指摘。町民に向け「町政に混乱を招いて申し訳ない。町民をないがしろにしているのではなく、一歩でも前進したいという考えからの判断だった」と語った。

 一方、井戸川町長は議会閉会後、「私を批判する側にも責任があるはず。全て私が悪いのであれば覚悟があるが、そうではない。町長頑張れと言う町民もいる」と述べた。最終的な判断については「(不信任決議案可決の)結果を落ち着いて整理したい。庁議を開いて町職員の意見も聞きたい」と述べた。

■町民、停滞を懸念

 「ただでさえ復興が進んでいないのに…。ますます遅れてしまう」。福島市の仮設住宅に暮らす双葉町の無職高田国男さん(85)は表情を曇らせた。

 1日も早く古里に戻りたいと、仮設住宅の部屋の位牌(いはい)に手を合わせる毎日だ。除染や賠償など事態が一向に改善しない中、不信任決議に伴う一連の手続きで町政が停滞することを恐れる。「町長の行動には疑問もあり、不信任決議は仕方がない気がするが、代償も大きい」

 役場機能を置く埼玉県加須市の旧騎西高には今も150人程度の町民が避難する。無職女性(75)は一刻も早く県内に町外コミュニティー「仮の町」をつくり、町民が移住することを望んでいる。しかし、町長と町議会の溝が決定的となり、「県内に戻れるのはいつになることか。もう待てない」と嘆いた。

 白河市内に避難している60代の男性は「他の避難自治体が復興に歩み出している中、このままでは双葉町だけが乗り遅れてしまう」と危機感をあらわにした。

 一方、町民からは状況の改善を期待する声も聞こえる。「町が復興に向けた歩みを強めるきっかけになってほしい」。いわき市の仮設住宅に避難する無職松倉光枝さん(78)はこれまで5回、一時帰宅をした。自宅周辺の放射線量はなかなか下がらず、町に早く町民生活に道筋を付けてほしいと求める。「対立の解消につながれば、協議も進む。今はごたごたしている場合ではない」と強調した。