IEAが2013年レポート発表。 変容する世界の電力市場、火力と水力が増えて原子力だけは減少 (スマート・ジャパン)
2013-11-16 19:40:25
世界のエネルギー需給の安定化を図るIEA(国際エネルギー機関)が毎年まとめる電力・エネルギー関連の生産統計を見ると、日本と同様に世界全体でも火力発電が急増している。水力発電も年々増える一方で、原子力発電は2005~2006年をピークに減少傾向に転じた。[石田雅也,スマートジャパン]
日本を含む28カ国が加盟するOECD/IEA(経済協力開発機構/国際エネルギー機関)は、世界全体のエネルギー生産・消費量を年間で集計している。中国やインド、ロシアや中東諸国など非加盟の主要国も加えた統計データで、2013年10月に公表した報告書「Key World Energy Statistics 2013」には過去40年間の電源別・地域別の発電量のほか、石油・石炭・天然ガスの生産量がまとめられている(IEAのウェブサイト)。
この報告書を見ると、東日本大震災後の日本の電力・エネルギー事情が決して特殊な状況にあるわけではなく、世界全体の傾向に合った形に変容したことがわかる。電源別では全世界で火力発電の伸びが著しく、過去10年間で1.5倍近い規模に拡大している(図1)。リーマンショックの影響を受けて2009年に減少した時期を除けば、40年間ほぼ右肩上がりで増えていて、特に最近の10年間は伸びが加速している状態だ。
図1 全世界の発電量(電源別、単位:10億kWh)。出典:OECD/IEA
石油火力では日本が世界最大の発電国
国別では中国の伸びが圧倒的で、特に石炭火力では2011年に全世界の40%を占めるまでに拡大した(図2、図3)。一方で石油火力は世界全体で規模が縮小しているものの、最大の発電国は日本である。いまや産油国だけが石油火力に依存している状況にもかかわらず、日本の電力会社はコストの高い石油火力を減らすことができずにいる。燃料費の増加で経営が圧迫されるのも当然だ。
日本の電力会社が再稼働を急ぐ原子力発電だが、すでに全世界で頭打ちの状態に入っている(図4)。最大の発電国である米国で原子力発電所の閉鎖が相次ぎ、今後の期待は新興国しかない。日本は発電設備の規模ではフランスに次いで第3位にある。将来に向けて再稼働・廃炉のいずれの道を選んでも、使用済み核燃料を廃棄処理する重荷は大きく残る。
中国をはじめ新興国で水力発電が伸びる
原子力発電が減少傾向にあるなか、水力発電の増加ペースが加速している(図6)。OECDに加盟する先進国のあいだでは横ばい状態だが、中国や南米を中心に新興国では発電量が年々伸びている状況だ。ブラジルでは国内の電力の80%以上、ベネズエラでも68%を水力発電に依存している(図7)。
水力による発電量は全世界で比較しても原子力の規模を上回る。2011年の時点で水力が3.6兆kWhの電力を供給したのに対して、原子力は2.6兆kWhと7割程度の規模にとどまった。全電力に占める割合では水力が16%、原子力が12%になる。
火力は全体の68%を占めていて、石炭が41%と最大である。天然ガスは22%、石油はわずか5%しかない。残る4%は太陽光や風力などの再生可能エネルギーだ。
石炭は生産量も急増、石油は微増にとどまる
こうしてIEAの統計データを比較してみると、火力を中心とした現在の日本の電源構成は世界全体の傾向に近いことがわかる。大きく違う点を挙げるとすれば、日本は石炭火力が少なくて、逆に石油火力が多いことである。
しかも全世界の生産量では、石炭が最近10年ほどのあいだに急増している一方、石油は微増の状態が続いている(図8、図9)。石炭は中国を筆頭に、インドやインドネシアなどアジア各国の生産量が拡大した。
天然ガスの生産量も石炭ほどではないものの、リーマンショック直後の2009年を除いて着実に増えている(図10)。特に米国とロシアの生産量が群を抜いていて、今後は日本への輸入拡大が見込まれる。
日本は天然ガスの輸入量で世界最大の国になった(石炭は第2位、石油は第3位)。米国とロシアの二強が世界市場で競争を繰り広げるなか、日本が買い手としてのスケールメリットを発揮して、従来よりも安い価格で天然ガスを調達できる可能性は大きい。
これから日本政府は3年間かけて、火力・原子力・水力を含む電源構成の将来像、いわゆるエネルギーのベストミックスを決めていく。その際には国内に閉じた狭い視点ではなく、世界のメガトレンドと調和させた国際的な戦略をとることが賢明と言える。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1311/14/news024.html























図6 水力による発電量(揚水式を含む、単位:10億kWh)。出典:OECD/IEA














Research Institute for Environmental Finance