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「民主主義」を知らない政治家が口にする「民主主義」(FGW)

2013-12-03 02:17:04

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ishibaBadWZwZCcAE48Pw自民党の石破茂幹事長の「民主主義」発言が波紋を呼んでいる。特定秘密保護法案や原発再稼働に反対する国会周辺での市民のデモを「テロと変わらない」と自身のブログで述べて多くの人の反発を受けた。その後、「おわびと訂正」として、今度は「本来あるべき民主主義の手法とは異なる」と修正した。言い換えたつもりだろうが、図らずも、この政治家が「民主主義」の基本を、全く理解できていないことを強調する結果となった。

 

<本来あるべき民主主義とは>

「本来あるべき民主主義」は、違憲選挙を衆参両院とも裁判によって再三指摘されているにもかかわらず、一向に選挙制度を是正しようとしない国会によって、今現在、形骸化されている。そもそも、選挙民の選択を正当に反映しない仕組みで選ばれた政党に国を運営する正当性はない。にもかかわらず石破氏が「本来あるべき民主主義」を主張するならば、特定秘密保護法案を提出する前に、選挙制度改革法案をこそ、与党として国会に提出して、本当の民主主義を守ってみせるべきである。

 

反原発活動などのシュプレヒコールを「一般の人々に畏怖の念を与え、大音量で自己の主張を述べるような手法は、民主主義と相いれない」と批判を続ける石破氏が、右翼等の街宣車が連日、大音量で街を跋扈する状況をなぜ何年にもわたって見過ぎしているのか。こうした街宣活動こそが、子どもたちに悪影響及ぼし、日本に来る外国人観光客の眉を顰めさせている。まさに「一般の人々に畏怖の念を与えている」。それとも石破氏の耳には、反原発や特定秘密保護法案反対の声だけが「大音量」として響き、右翼の街宣車のマイクの声や音楽は、「心地よく」聞こえるのだろうか。

 

 

<合意形成こそ民主主義の原点>

 

民主主義は、単に多数決原理だけを金科玉条とするものではない。合意形成型の民主主義の場合には、多数派による独裁を防止するため、国会での意思決定に際しても、内容により満場一致や拒否権を必須とする場合もある。アメリカの政治学では、意思決定だけではなく、参加者全体の合意形成を重視して、事前の情報公開や報道の自由、少数意見を尊重した議論、その過程の一般公開などを民主主義の基本ルールとみなす強い指摘がある。この点からも、自民党がごり押しする特定秘密保護法案が、いかに「非民主的枠組み」であるかがわかる。

 

為政者や与党が、野党や少数政党を議会から事実上排除したり、少数派の政治活動や、言論、思想の自由を弾圧するようになれば、たとえ選挙で政権の座に就いた場合でも、「非民主的」な体制とみなされるのだ。形式的に投票と議会の運営などの議会制民主主義の形をとっている場合でも、国民の判断の前提となる自由で公正な情報が提供されないような状況は、「非自由主義的民主主義」と呼ばれる。つまり自由主義と相いれない民主主義というわけだ。これこそが「本来あるべき民主主義」と根本的に異なる似非民主主義の姿であり、それこそが自民党が推進する特定秘密保護法案の世界なのである。

 

いびつな選挙制度に立脚した結果だとはいえ、こうした主張を平然と繰り返す政治家が幹事長を務め、その場限りの発言をして恥じない首相を抱えた非民主的な旧来型政党が政権の座に就き、さらに民主主義を抑圧せんとする法案を、今国会で成立させようとしている。だから国民が、市民が、老人が、若者が、やむにやまれぬ思いで、デモをするのである。(FGW)

(注)だらず、は石破氏が選挙区とする鳥取地方の方言。