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国際協力機構(JICA)、初のソーシャルボンド200億円発行。途上国開発資金調達。今後のJICA債も同ボンドに切り替え。国内市場づくりへ(RIEF)

2016-08-23 12:34:30

JICAキャプチャ

 

 国際協力機構(JICA)が途上国のインフラ整備等に充当する初のソーシャルボンドを発行する。国際金融機関で構成するグリーンボンド原則(GBP)のソーシャルボンド定義に沿う日本初のソーシャルボンドとなる。円建てで発行額は200億円。JICAでは今後発行するJICA債も、ソーシャルボンドとして定期発行していく。

 

 JICAは政府の政府開発援助(ODA)の実施機関として、途上国の社会インフラ整備や貧困層対策などに資する円借款等を供与しており、そのための資金調達としてJICA債(財投機関債)を定期発行している。今年6月現在で、4500億円の発行実績を持つ。

 

 JICA債はODAに基づく資金調達ということで、元々、社会貢献性が高く、GBPが定めたソーシャルボンドの規定に合致する。このため、今後発行するJICA債をすべて、GBPの定義に基づくソーシャルボンドとして位置づけることにした。GBPの定義に合致しているかどうかは、シンクタンクの日本総合研究所がセカンドオピニオンとして評価する。

 

 来週にも発行する第一号のJICAソーシャルボンドは、10年もの100億円と、20~30年の長期もの100億円。野村証券、大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券などが主幹事を務め、国内の生命保険会社や年金基金などに販売する予定。債券の格付けはJICAのAA+ネガティブ(R&I)、A+(S&P)となる。

 

 JICAでは、今回の調達資金をミャンマーのティラワ経済特区やケニアでの地熱発電事業などの有償資金協力に充当する予定。国内市場では超低金利が続いているため、ESG(環境・社会・ガバナンス)運用と長期運用を兼ね備えた投資商品に対する年金。生保等の長期投資家の購入意欲は強い。JICAは今後、年間600億円規模の発行を続け、同ボンド市場のベンチマーク形成を目指す。

 

 JICAが基準とするGBPのソーシャルボンド原則は、①資金使途②事業計画の評価と選別のプロセスの明示③資金の管理④報告、の4原則に基づき、投資家への情報開示を明確に求めている。http://rief-jp.org/ct6/62263

 

 主なソーシャルボンド例としては、(1)利用可能な基本インフラ(クリーンな飲み水供給施設、下水設備、公衆衛生、公共交通など)(2)重要な社会サービスへのアクセス(健康、教育、職業訓練、健康管理、金融と金融サービスなど)(3)適切な住宅(4)雇用者対策(中小企業ファイナンスやマイクロファイナンスの潜在的な効果を通じる場合を含む)などが例示されている。

 

  ESG分野への資金供給にボンドを発行するケースは、再生可能エネルギーや省エネ事業等への投融資資金を調達するグリーンボンド市場が国際的に急拡大している。わが国でも日本政策投資銀行などが発行している。グリーンボンドのほか、社会分野を重視するソーシャルボンドを含めたESGボンドの発行市場の拡大は、金融資本市場の多様性を高めることにも貢献する。

 

http://www.jica.go.jp/