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電気自動車の蓄電池コストの低下進行で、2022年にはエンジン車との価格差は約20万円に、24年には価格差ゼロに。スイスUBS銀行が予測(RIEF)

2020-11-13 15:42:39

VWキャプチャ

 

    電気自動車(EV)の価格が2024年には、通常のガソリン車等とほぼ同レベルになるとの推計が出た。これまでのEV車の価格下落見通しをかなり前倒しする内容だ。スイスのUBS銀行のリサーチによる。調査はEVのカギとなる蓄電池製造の主要7メーカーの開発状況を詳細に分析して導き出された。2022年時点でEVとエンジン車(ICE)との価格差は1900㌦(約20万円)に、24年にはゼロとなるという。

 

 (写真は、フォルクスワーゲンが6月に発売したEV、ID.3)

 

 調査は、EVの蓄電池製造コストと、現行のガソリン車等の内燃機関エンジン(ICE)の製造コストを比較した。UBSは主要な蓄電池製造メーカー7社の製造コスト分析を元にして、今後のコスト低下を見積もった。それによると、両者の価格差は2022年には自動車一台当たりで1900㌦(約20万円)まで縮まり、24年にはその差は完全に消えるという。

 

 EVの蓄電池コストは、自動車全体の4分の1あるいは5分の2の割合を占める。このコストが低下すると自動車全体の価格引き下げが可能になる。蓄電池メーカーは日本のパナソニック、韓国のLG Chem、中国のCATLなど、東アジア諸国に集中している。UBSは、これまで欧米の自動車メーカーは、蓄電池コストの高さを理由としてEV化を十分に進め来なかったと指摘している。

 

 調査では、蓄電池コストは急速な価格低下で、20211~12年には1Wh当たり100㌦を切る水準にまで進むとみている。EVとICE車の価格差の急速な縮小から、UBSは「2025年以降は、ICE車を購入し続ける理由はなくなる」と指摘している。また現在、EVよりも価格的に有利なハイブリッド車(HV)の利点も消える、とみている。

 

 実際、EVの価格低下は進んでいる。独フォルクスワーゲンが6月に発売した同社初の大量生産型EVのID.3は2万9990ユーロ(約372万円)からの価格設定で、同社のほぼ同じタイプのICE車のゴルフ(2万280ユーロ)との差は、約7000ユーロ(約87万円)で、日本円換算で100万円を切っている。

 

 すでに欧州の新車販売市場では、今年一年間でEVとHVを合わせると、100万台を上回り、110万台に達するとみられている。UBSでは、蓄電池コストのさらなる低下を見込んで、グローバル市場では2025年までに、新車販売に占めるEV車の割合は17%に、2030年には40%にまで上昇するとみている。

 

  蓄電池のうちニッケル電池は、多様なバッテリーに応用するうえで技術的なカベがあることから、2025年にかけて、リチウム電池の発展や、多様な化学物質等の組み合わせ技術等の進展が期待されるとしている。こうした技術進展がさらに進むと、自動車メーカーにとって、EVに集中した製造がベストアプローチであると見通している。また現在、東アジアに集中している蓄電池製造拠点のOEM化が欧州等でも進むとみている。

 

https://www.ubs.com/global/en/investment-bank/in-focus/2020/heart-of-electric-car.html

https://cleantechnica.com/2020/10/22/ubs-predicts-ev-price-parity-in-2024/#:~:text=UBS%20predicts%20EVs%20will%20represent,share%20of%20just%20under%2010%25.