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福島復興の象徴になるはずだった「福島沖浮体式風力発電事業」、最大規模の風車の採算見込めず撤去へ。福島復興と再エネ振興の両政府政策の「頓挫」を象徴(各紙)

2018-10-27 09:46:23

fukushima1キャプチャ

 

   各紙の報道によると、政府が東京電力福島第一原発事故からの復興の象徴として、福島県沖に設置した浮体式洋上風力発電施設3基のうち、世界最大級の直径167mの羽根を持つ三菱重工業製の1基を、撤去する方向であることがわかった。商用化を目指した実証研究を続けていたが、機器の不具合で設備利用率が低く、採算が見込めないことが理由という。福島復興と再生エネルギー政策振興の両方の行き詰まりを「象徴」する形になりそうだ。

 

 福島県は原発事故後、再生可能エネルギーの導入を進めている。最近では、帰還困難区域でのメガソーラー事業が相次いで着手されるなどの明るいニュースもある。福島沖での風力発電所事業も、経済産業省の後押しを受けて、欧州並みの大規模なウィンドファームに発展させる構想も浮上していた。

 

 同風力発電事業は「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」とする経産省の委託事業で、丸紅がプロジェクトインテグレーター、東京大学がテクニカルアドバイザーとなり、三菱重工業、ジャパンマリンユナイテッド、三井造船、新日鐵住金、日立製作所、古河電気工業、清水建設、みずほ情報総研の各社がコンソーシアムを構成している。

 

 しかし、報道によると、経済産業省関係者は「現状では維持費もかかるため、撤去方法を検討している」と話しており、3基のうち最大級の1基を撤去する方針という。他の2基の実証試験も2018年度で終了する予定だったが、引き続き試験期間を延長して商用化の可能性を探る方針としている。

 

 風力発電所の実証研究は、福島県楢葉町沖約20km付近に設置した風車3基と変電所を使って、原発事故の翌年の2012年から行っている。これまでに合計約585億円を投じている。行き詰まりそうなのは出力7000kWの大型の1基。建設費は約152億円。

 

  同基は2015年12月に運転を開始した。しかし、風車の回転力を発電機に伝える変速機などで問題が続発。2017年7月からの1年間の設備利用率はわずか3.7%と低迷し続けている。新規洋上風力の事業化の目安とされる30%には大きく届かなかった。

 

 今年8月には経産省が委託した専門家による総括委員会が「初期不具合や解決に至らなかった技術的課題があり、商用運転の実現は困難」「早急に発電を停止し、撤去の準備を進めるべき」と指摘した。風車の解体場所として、関連企業の工場に近い淡路島沖か、製造した三菱重工業の長崎造船所の2案を軸に検討に入っている。

 

  撤去には建設費の1割程度かかるとみられるという。建設費と合わせると、国民の税金約170億円が無駄になったことになる。残りの直径80mで出力2000kWの風車は設備利用率32.9%と目安を上回っているが、直径126mで5000kWの風車は18.5%にとどまっている。

 

 洋上風力発電は、海上に設置した風車で発電する。陸上は風力発電や太陽光発電の適地が少なくなっており、周囲を海に囲まれた日本にとって洋上風力は有望な再エネ手法として開発が進んでいる。海底に固定した土台の上に風車を設置する着床式と、海上に風車を浮かべる浮体式の2種類があり、近海の水深が深い日本は浮体式が適しているとされる。発電した電気は海底ケーブルを通じて陸地に送る。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018102790065841.html

http://www.fukushima-forward.jp/gaiyou/index.html