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日本のお茶に含まれるネオニコチノイド系農薬、全種類含有。ペットボトル飲料にも。過度に摂取すると健康影響への懸念も。自然栽培のスリランカでは全く検出されず(RIEF)

2018-08-21 12:10:07

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 北海道大学などの研究チームは、市販の日本産の緑茶の茶葉とボトル茶飲料の全てからネオニコチノイド系農薬を検出したことを研究論文で公開した。同調査では、対照としたスリランカ産の茶葉からは農薬は検出されず、国内の茶葉生産の農薬使用の影響が明確になった。

 

 研究チームは、北海道大学獣医学研究院の池中良徳准教授らのグループ。論文は、国際的な環境・医療科学情報サイトElsevierに掲載された。それによると、日本産茶葉39検体とスリランカ産茶葉30検体、国内のコンビニで購入したボトル詰めの茶飲料9検体について、残留するネオニコチノイド系農薬とその代謝物を調査した。

 

  その結果、スリランカ産茶葉からは農薬は検出されなかったが、日本産茶葉からはジノテフランなど7種類を、またボトル飲料からはニテンピラムを除く6種類のネオニコ系農薬が検出された。推定摂取量は一日摂取許容量(ADI)より低いが、長期間、あるいは過度に消費すると健康への影響が懸念されることがあるとしている。

 

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 農薬の検出頻度と最大検出濃度は、ジノテフラン(100%, 3004 ng/g)が最も高く、次いでイミダクロプリド(92%, 139 ng/g)、チアクロプリド(79%, 910 ng/g)、チアメトキサム(79%, 650 ng/g)、クロチアニジン(74%, 233 ng/g)、アセタミプリド(67%, 472 ng/g)、ニテンピラム(3%, 54 ng/g)の順。茶飲料からもジノテフランの検出頻度が最多だった。

 

 いずれの検出値も日本の茶葉残留基準値を下回っているが、日本の基準値はEUなどに比べて高いことも指摘している。基準値では、アセタミプリドボトルとクロチアニジンについては米国が日本より高いが、その他は日本の基準が高く設定されている。

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 また、大人と比較して脆弱な子どもへの影響が考えられるほか、ネオニコ系農薬代謝物の毒性はよく分かっていない部分があることから、今後、ネオニコチノイド系農薬のリスクと安全性を明確にするため、代謝物の毒性研究や、環境暴露に対する大規模な疫学研究が必要としている。

 

 環境支援活動を行っている一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト(abt)は「論文は、子どもの神経発達への影響が毒性として考慮されていないこと、ネオニコチノイド代謝物の人体毒性がまだよくわかっていないことの問題性を指摘している」と評価している。

 

https://www.actbeyondtrust.org/report/4310/

 

https://reader.elsevier.com/reader/sd/5CF2164FB1ECC75F5CEC5CFE6CA98FC12F990938AF814F92DFED8EB45D37A32B711FFEC5624067ED4D83BAD647AE3A82