HOME8.温暖化・気候変動 |効果的な温暖化対策を求める市民等の抗議行動「Extinction Rebellion(絶滅への反乱)」、今週初めから英米豪等で展開。若者だけでなく80代の高齢者も参加、“無策”の政府への怒り(RIEF) |

効果的な温暖化対策を求める市民等の抗議行動「Extinction Rebellion(絶滅への反乱)」、今週初めから英米豪等で展開。若者だけでなく80代の高齢者も参加、“無策”の政府への怒り(RIEF)

2019-10-08 21:29:02

 

  効果的な温暖化対策の実施を求める「絶滅への反逆(Extinction Rebellion: XR)」運動が、今週、英米、オランダ、オーストラリアなどで吹き荒れている。この春、英国で始まったXR運動は、ロンドン市内の拠点をバリケード等で占拠するという過激なものだが、今回もロンドン、ニューヨーク等で警官隊等と衝突している。

 

  XRは今年4月、英国から始まった。気候変動の影響が加速するのに、どの国の政府の政策も、口先だけで、本当に温暖化を防ぐ対策を講じようとしない。このままではわれわれは絶滅してしまう、との危機感を訴えて、ロンドン市内のウォータールー橋やオックスフォードサーカスなどを長期間にわたって占拠、政府と市民にアピールした。https://rief-jp.org/ct7/88987

 

 今回はその「秋の陣」というわけだ。今回も、ロンドン市内のウエストミンスター橋、ランベス橋、トラファルガー広場、スミスフィールドマーケットの各拠点と、官庁街のあるウエストミンスターに通じる道路を、2週間にわたって、ブロックすることを目指している。

 

アラームを意味する「赤」の衣装で更新する人々
地球へのアラームを意味する「赤」の衣装で更新する人々

 

 効果的な温暖化対策を求める国際的な活動としては、スウェーデンのグレタ・ツゥーンベリさんが始めた「気候変動のための登校拒否(School Strike)」が有名。政府に迅速な温暖化対策を求める点ではグレタさんらと同じだが、XRの参加者は若者に限らず多くの世代にわたり、行動も座り込むだけでなく、交通妨害等でアピールする。このため警察に逮捕されることも厭わない。

 

 今週明けからのロンドンでの行動でも、初日の7日だけで、ロンドン警視庁は280人を逮捕。逮捕者の中には、80代の高齢者が少なくとも2人含まれていたという。その2人は、国防省の外で捕まったSarah Lasenbyさん(81)と、財務省前で壁にスプレーで抗議メッセージを書いたPhil Kingstonさん(83)。

 

 Philさんのメッセージは「私の孫たちに、死ではなく命を(“Life, not death for my grandchildren.”)」というもの。孫たちの世代の将来を憂うおじいちゃんの決意、ということのようだ。

 

資本主義の象徴、NY証取の「雄牛像」も赤い血で塗られた
資本主義の象徴、NY証取の「雄牛像」の前で「ダイ・イン」行動

 

 7日のニューヨークの金融街、ウォールストリート周辺でも、XRが行動を展開した。抗議参加者はニューヨーク証券取引所前にある米資本主義の象徴とされる「Charging Bull」の雄牛の銅像の前で、「ダイ・イン」活動等を展開、周辺の交通をブロックした。このため、20人以上が逮捕された。

 

 雄牛像でのダイ・イン行動は、温暖化の影響で威力を加速し続けるハリケーンの襲来で、死傷した多数の人々を弔う意味を込めたパフォーマンスだという。アメリカらしく、デキシーミュージックが明るく演奏された。

 

 ニューヨーク以外のワシントン、シカゴを含む他の米都市でも、XRに共鳴する抗議行動が展開された。ニューヨークのワシントン広場では、すでに数千人の人々が集まっており、今後、一週間にわたって抗議活動を展開する予定という。抗議活動が公園外に広がると、さらに逮捕者が増える見通しだ。

 

シドニーでも座り込み排除で逮捕される女性
シドニーでも座り込み排除で逮捕される女性

 

 オーストラリアでもシドニー、キャンベラ、ブリスベーン等の街で、XR賛同の抗議行動が展開された。気候がこれから春のシドニーでは「春のRebellion」となった。各地で交通遮断を目的とした抗議デモが展開された。7日だけで、16歳以下の少女4人を含む30人以上が逮捕された。またベルリン、アムステルダムでも抗議行動が続いた。

 

  XRは基本的に非暴力を掲げる。だが、人々へのアピールのため、交通妨害等で都市機能をマヒさせる行動を展開する。その主張は、迅速な気候変動対策の実施を政府に求める点にある。この点で、グレタさんの「School Strike」と共通する。グレタさんも4月にロンドンを訪問した際、ERの活動家たちと交流している。http://rief-jp.org/ct4/89108

 

 XRが求める要求は3つ。「Tell the Truth(本当のことを伝えて)」「Carbon net zero by 2025(2025年までにカーボン排出量をネットでゼロに)」「Citizen’s Assembly(市民評議会の設立)」。https://rebellion.earth/event/uk-rebellion-shut-down-london/

 

 単にCO2排出量を抑えるだけでなく、既存の政治への不信から、温暖化の進行を迅速に止めるゴールを定め、その実現状況を監視するため、信頼できない既存の政治・政府とは別に、市民自らの協議会を設立しよう、というものだ。市民の視点に立った民主主義の復活を求める点で、新たな時代を求める若者のエネルギーを軸に据える。日本でもXRに火が着くか?

 

https://rebellion.earth/event/uk-rebellion-shut-down-london/