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米、19年ぶり新規原発認可 合計100基に。大恐慌時設立のTVAの経営安定を意識。例外的扱い(RIEF)

2015-10-25 21:43:20

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米原子力規制委員会(NRC)は22日、テネシー川流域開発公社(TVA)が建設を進めてきたWatts Bar(ワッツバー)原子力発電所2号機に運転認可を与えたと発表した。

 

 米国内で新規の商業用原子炉の運転認可は1996年以来、19年ぶりで、今世紀に入って初めて。同原発は稼働準備に入り、2016年に発電を開始する予定。米国内で稼働する原発は合計100基になる。

 

 Watt Barはすでに稼働している1号機を合わせて2300MWの発電能力量を持つことになる。130万の家庭の電力を賄える。原発の稼働期間は40年間の予定。

 

 NRCの認可発表を受けて、TVAのpresidentでCEOでもあるBill Johnson氏は「われわれはあらゆる過程を経て、低コストで、カーボン・フリーで高品質の電力を供給できる。地域の雇用も維持できる」との声明を出した。

 

 TVAは1933年にフランクリン・ルーズベルト大統領が世界恐慌対策のニューディール政策の目玉事業として実施された、テネシー川流域を総合開発のために設立された政府機関。現在も、多数のダムや水力、火力発電所のほか、3カ所で原発を運営している。

 

 ただ、最近は水力発電が衰退し、公社の民営化方針も出され、地元からは反発の声があがっていた。またオバマ政権が温暖化対策で打ち出した石炭火力発電縮小政策も追い打ちをかける形となっている。今回のTVAの原発稼働は地元雇用の確保につながるもので、オバマ世間も石炭火力規制強化の見返りに、原発運転を認可したとみられる。

 

 Watt Bar 2号機は1985年以来、建設途上の状態が続き、何度か申請を更新し続けていた。2007年に、運転認可を求め続け、今回、ようやくゴーサインが出た。NRCが前回19年前に認可を出したのも、TVAのWatt bar 1号機で、TVA以外の原発新規稼働はこの間、起きていないことになる。

 

 米国では1979年のスリーマイル島原発事故後、原発への懸念が高まり、その後は原発コストの上昇、2011年の東京電力福島第一原発事故後の追加的安全対策の負担等で、民間電力会社の原発計画は行き詰まっている。また、シェール石油・ガスや再生可能エネルギーなど他のエネルギー源が技術的改善を高めていることも、原発の魅力を低下させている。

 

 今回、NRCが稼働を承認したWatt Bar2は、事故が起きても原子炉に電力供給を維持するための基準や、使用済み核燃料プールの水位を確認する機器の設置などを満たした初めての施設だという。

 

https://www.tva.gov/Newsroom/Watts-Bar-2-Project