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東電福島原発 国の除染作業で使用された汚染の可能性高いマスクや手袋、福島県内のコンビニ等のゴミ箱へ放棄常態化。一般ゴミとして焼却、大気中拡散の可能性(各紙)

2015-10-26 22:06:24

fukushimajyosenhaikiキャプチャ

 各紙の報道によると、東京電力福島第一原発事故後続く国の除染作業で使用され、放射能汚染されている可能性の高いマスクや手袋が、福島県内のコンビニなどのごみ箱に捨てられるケースが常態化していることがわかった。これまで国は明確な対応策をとっておらず、事実上、放置されてきたといえる。

 

 共同通信が取材したもの。厚生労働省福島労働局は、被ばく対策や汚染廃棄物の扱いを定めた労働安全衛生法に違反する疑いがあるとしている。環境省によると、これまで郡山市、田村市、南相馬市、楢葉町から苦情や通報があり、今年3月と8月に業者に改善を指導したとしている。

 

  環境省は引き続き、「業者には法令順守を求めており、引き続き適切に指導したい」としているが、共同通信は、複数のコンビニや除染業者が、除染が本格化した2012年から投棄が続いていることを認めた、と報道している。コンビニ経営者の一人は「業者に苦情を言っても、なくならない」と投棄が常態化している実態を訴える。

 

 捨てられたマスクや手袋には放射性物質が付着している可能性がある。コンビニのごみ箱に捨てられたものは、他のゴミと一緒に一般廃棄物として焼却処分されたとみられる。手袋等に放射性物質が付着していた場合、それらは焼却炉から大気中に拡散したことになる。コンビニ従業員らの健康被害はこれまでのところ、確認されていない。

 

 国直轄の「除染特別地域」で除染活動に従事した作業員が使用したマスクや手袋は使用後、放射線量の計測が法令で義務付けられている。一定以上の汚染が確認されれば地域外に持ち出すことは禁じられ、汚染土壌と同様に中間貯蔵施設で保管される手順だ。

 

 ところが、厚労省や環境省によると、煩雑な手続きを嫌って使用後のマスクや手袋の汚染計測を実施していない業者も多く、コンビニなどへの投棄は後を絶たないという。国もこうした業者の「不正行為」を見て見ぬふりをしてきた可能性がある。

 

 共同通信によると、環境省への通報事例がない伊達市でも、除染作業を終えた作業員が立ち寄るコンビニで、屋外のごみ箱に除染で使われたとみられるマスクや手袋が捨てられていたという。除染活動開始からこうした行為が常態化していたとすると、実際の廃棄量は相当な規模になるとみられる。

 

 飯舘村で除染作業に従事する作業員は「現場に手袋やマスクの汚染計測の設備はあるが、やっていない。面倒なのでそのままコンビニや宿舎で捨てている」と証言している。

 

 福島原発事故から4年半が経過、国は「食べて応援」などとキャンペーンを展開している。しかし、除染活動は遅々として進んでいない。環境省の「除染情報サイト」は、「除染のフォローアップ」として、「住民からの心配の声等に対応するため、モニタリングやリスクコミュニケーションを丁寧に進める」としているが、実態は今回のようなお粗末な状況が常態化しているということだ。

 

 放射能汚染の可能性のある手袋やマスクを安易にコンビニのゴミ箱に捨てる作業員のモラルは問われるべきだ。だが、それ以上に問われるべきなのは、ホームページでキレイ事の文章を並べるばかりで、二次汚染防止対策に手をこまぬいてきた国に基本的な責任があることは間違いない。

http://josen.env.go.jp/about/efforts/follow_up.html