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TCFD支援企業数、この夏の終わりまでに世界で500社に。TCFD事務局のブルームバーグ担当者が目標設定を明かす。「TCFD500」の結成で市場ベースでの普及促す(RIEF)

2018-04-20 22:15:29

TCFDキャプチャ

 

   金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、昨年夏の勧告に対する支援表明企業数を、この夏の終わりまでに500社に拡大する目標を立てていることを明らかにした。「TCFD500」を実現することで、気候変動情報を企業の財務情報に盛り込む動きを、市場のベンチマークとして進める考えのようだ。

 

 TCFDはブルームバーグ創始者・社長のマイケル・ブルームバーグ氏が座長として勧告を公表した。その後も、勧告内容の普及のため、支援企業をグローバルに集めるほか、勧告に盛り込んだシナリオ分析の具体化などの作業を進めている。今回の「TCFD500」の目標は、TCFDの事務局作業を担当するブルームバーグ社のサステナブルビジネス&金融チームのAni Kavookjian氏が明らかにした。

 

 現時点で、TCFD勧告への支持を表明している企業数は275社に達している。このうち、日本企業は銀行と損害保険の各ビッグ3企業のほか、昨年6月にTCFDが勧告を公表した後、最初にその内容に賛同を表明した住友化学、国際興業の2社を合わせて合計8社。機関投資家である生保や、証券・資本市場を扱う証券の主要企業は参加していない。

 

 Kavookjian氏は「TCFDとしては、夏の終わりまでに支援企業500社を獲得することを目指している」ことを明らかにした。「TCFD500」の目標設定については、FSB議長のイングランド銀行総裁、マーク・カーニー氏も支持ているという。

 

 同氏は、これまでに支援を表明した企業に対して支援理由を質問したところ、多くの企業が、投資家としての要請に加えて、同じ産業セクター内の同業他社の動きが大きい、と回答していることを明らかにした。

 

 ある産業の主要企業が、自らの気候関連財務情報をTCFD勧告に沿って精査、評価、開示する、と宣言すると、ライバル企業も競走上、負けずに開示を宣言する、という市場内競争がすでに起きているとの理解のようだ。

 

 企業同士の競い合いが顕在化すると、情報開示に取り組む企業が当該産業内に広がることが期待されるわけだ。国連の諸活動や国際的な宣言に署名する日本企業は増えているが、TCFDの場合は、支援した以上、行動(情報開示)を伴うことを求められる。といって、支援をしないで済ませられるかというと、未支援企業はその産業内で、支援を表明したライバル企業に対抗できなくなるリスクが顕在化する。

 

(この記事は、当初の記事を4月25日に修正した。「TCFD500」の目標はカーニー総裁によって設定されたものではないが、総裁は支持企業を追加的に増やすことを支持している)

https://www.fsb-tcfd.org/news/#