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「プロジェクトファイナンスの環境・社会配慮の「エクエーター原則」第4次改定版、来週決定。世界の300以上の環境NGOや市民団体らが、金融機関の発想転換を求める共同公開書簡(RIEF)

2019-11-15 15:59:19

BankTrack1キャプチャ

  世界の312の環境NGOや市民団体は、赤道原則(Equator Principles)の第4次改定版(EP4)が、来週、18~20日にシンガポールで開くEquator Principles Association(EPA)の年次会合で決定することを踏まえ、共同公開書簡をEPAに送った。書簡では新規石炭火力や同採掘、石油ガスパイプライン・ターミナル等へのファイナンス停止のほか、先住民の権利擁護の確立を要請。「勇気と野心をもって、従来の事業マインドを延長する『Business As Usual』からの脱却』を求めている。

 EPAの原則改定作業はほぼ2年がかりで進められてきた。改定作業にはステークホルダー・エンゲージメントも実施され、環境NGOや市民団体等からの意見も徴集する手続きを経た。ただ、最終原案の段階では、「Business As Usual」路線からの脱却が明確ではなく、気候変動に影響する大規模プロジェクトへの言及も限られていた。

 EP2キャプチャ

 こうしたことから共同書簡では、「気候災害を助長するファイナンスの停止と、先住民族の権利と生活圏を尊重する」ことを求め、最終原案の大胆な改正を求めてきた。EP改定作業への環境NGOの要請が高まったのは、2017年に米国・北ダコタ州で先住民族の居留地を横断する石油パイプライン計画(DAPL)に、EP署名の銀行14行(日本の3メガバンクを含む)がファイナンスしていたことがきっかけだ。

 途上国でのプロジェクトファイナンスではES配慮が求められる。だが、先進国の米国で先住民の権利を無視したプロジェクトが推進され、EP署名金融機関がファイナンスを提供するという事態が発生した。このため、NGOらは、先進国、途上国を問わないEPの適用範囲の見直しを求めてきた。

Banktrackキャプチャ

     さらに大規模プロジェクトによるリスクマネジメントの観点もプロジェクト自体のリスク判断だけでなく、周辺の自然や人間のリスクも考慮したものに転換すべき、と指摘している。

 公開書簡をとりまとめたオランダの環境NGO、BankTrackの代表、Johan Frijns氏は「世界は多様な環境、社会的課題に直面している。われわれはEPに署名している世界の主要な金融機関が、新たな原則を採用することで、もはや気候変動等への環境・社会課題に影響を及ぼさない方法で、ビジネスを展開する真剣なコミットメントを期待する」と述べている。

https://www.banktrack.org/download/letter_from_312_organisations_to_equator_principles_association_on_singapore_meeting_expectations/191113_ep_open_letter_final_to_epa_chair.pdf

https://www.banktrack.org/article/as_banks_head_for_singapore_to_decide_on_new_equator_principles_over_300_groups_call_for_ambition_and_courage#_