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三井住友信託銀行、サステナビリティ・リンク・デリバティブ(SLD:為替予約)契約を、スポーツ製品大手のアシックスに提供。サプライチェーンのScope3の改善を目指す(RIEF)

2021-08-06 18:56:10

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  三井住友信託銀行は6日、スポーツ製品大手のアシックス向けに、「サステナビリティ・リンク・デリバティブ(SLD)」を設定した。SLDはサステナビリティ・リンク・ローン(SLL)のスキームを基本に、リンク先をローンではなく、先物外国為替取引契約条件とする。アシックスが、Scope3の評価を反映したサステナビリティ・パフォーマンスターゲット (SPT)を達成できない場合は、追加的な為替レートが適用される。アシックスは追加分に相当する資金を環境NGO等に寄付する仕組み。

 

 三井住友信託は「ESG為替予約」と呼んでいる。ベースとなるSLLは、企業が設定したSPTを達成した場合、サステナビリティ向上に貢献したとして、借入金の金利優遇を受ける仕組み。これに対して、今回のSLDは海外取引が盛んな企業が活用する為替予約の条件を連動させる。

 

 KPI(重要業績指標)には、非営利団体CDPが設定するサプライヤーズエンゲージメント評価(SEA)のスコアを採用する。SEAはサプライチェーンの温室効果ガス排出量を含むScope3を評価に加えている。海外で生産し、グローバルブランドで製品を販売しる企業の場合、Scope3の把握が欠かせない。

 

asicsキャプチャ

 

 このKPIを踏まえ、SPTは、2023年のSER評価でリーダーボードに選出される(A スコアの維持)こととした。CDPのSERの評価でリーダーボード選出企業は全世界で約7%(396社)。SERで高評価を得るには、Scope3排出量の削減で、サプライ ヤーとの協働等の取り組みが求められる。

 

 CDPのSERの平均スコアは、「テキスタイル&ファブリック」グループでB-、アジア地域でB-、世 界でC 。このため、セカンドオピニオンを付与した投資格付情報センター(R&I)は「(アシックスの)SPTは平均的なパフォーマンスレベル対比でも野心的な水準」と評価している。

 

 アシックスが判定年度にSPTを達成できなかった場合、三井住友信託との間で、事前に合意した内容で環境NGO等に寄付を実施する。SLDの為替予約のキャッシュフローは KPI のパフォーマンスと連動するため、 アシックスは目標達成の経済的インセンティブが生じる。寄付候補先と寄付額については開示されていないが、 R&Iは寄付候補先や寄付金額等についてヒアリングを実施し、「妥当な内容」と説明している。ただ、市場や一般には開示されておらず、透明性に課題はある。

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