HOME1. 銀行・証券 |野村アセットマネジメント。企業のESG評価のスコアリングに、温室効果ガスの「吸収量」を新たに加える。森林クレジットやCCUSクレジット等を想定(RIEF) |

野村アセットマネジメント。企業のESG評価のスコアリングに、温室効果ガスの「吸収量」を新たに加える。森林クレジットやCCUSクレジット等を想定(RIEF)

2022-02-18 16:44:09

NomuraAMスクリーンショット 2022-02-18 163547

 野村アセットマネジメントは18日、運用対象の日本企業をESG評価する際に使用する「ESGスコア」の評価項目に、温室効果ガス(GHG)の吸収量を新たに加えると発表した。対象となる「吸収量」は①森林やCCUSなどによって大気中から直接GHGを吸収する「除去量」②自社での取り組みで削減に貢献する「削減貢献量」③カーボンクレジットによる「オフセット量」等を含む。

 

 同社は「国内の資産運用会社でGHG吸収量を評価に組み込むのは当社が初めて」としている。資産運用会社は、投資対象となる企業の評価にESGスコアを活用するところが多い。同社のスコアシステムは、環境、社会、ガバナンス、SDGsの観点から約100項目のる企業の非財務情報を調査・分析し、ESGを考慮した企業価値の評価に活用している。

 スコア対象となる評価項目は毎年見直しを行い、運用ポートフォリオでの投資判断や新規の商品開発に適用するほか、顧客への運用成績の報告等に際しても活用するという。

 今回、GHG排出量だけでなく、吸収量を評価項目に加えるのは、評価対象となる企業から、「吸収量を投資家の評価に組み込んでほしい」との要望が複数あったことと、より積極的に気候対策に取り組んでいる企業を投資家が見分けることにつながる等との判断から加えることとした。

 評価に際しては、日本企業を対象にしたGHG排出量の評価項目において、排出量から企業の開示したGHG吸収量を控除して評価するとしている。排出量から控除する吸収量については、Scope1~3の排出量合計の20%を上限とする。

 対象となる吸収量は、森林保全によって創出される伝統的なオフセットクレジットのほか、化石燃料発電からのCO2を回収・利用・貯留(CCUS)技術で除去することで発生するクレジット、大気中のGHGを直接吸収するDAC、自社の技術・製品・取組みなどでの削減貢献を評価する「Jクレジット」、海外での削減事業から創出されるJCM等が含まれる。

 同社では「気候変動緩和の取組みである『ネットゼロ』は、GHG排出量から吸収量を差し引いた総和をゼロにすることを意味し、企業が最大限の削減努力をしても残る残余排出量については、吸収量を活用する必要がある」と指摘している。同社が掲げる「2050年ネットゼロ目標」と「2030年中間目標」の取組みでも、吸収量を参考にしている。

https://www.nomuraholdings.com/jp/news/nr/etc/20220218/nam20220218.html