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銀行、生損保、企業等の大手9社。「サステナブルファイナンスプラットフォーム(仮称)」立ち上げで覚書。今秋にも「ベータ版サービス」開始。ESG情報開示の共通化目指す(RIEF)

2023-05-25 17:21:23

ESGキャプチャ

 

  3メガバンクや3メガ損保等の金融機関・企業等9社は25日、ESGに関する相互理解と情報開示等を促進するデジタルプラットフォームの構築のための覚書を結んだと発表した。構築するのは「サステナブルファイナンスプラットフォーム(仮称)」で、今秋にも、プラットフォームのベータ版サービスを始めるとしている。ESG、サステナビリティ分野の情報開示としては、2024年から国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の気候・サステナビリティの基準への準拠が求められることから、開示情報の共通化等を図る。

 

 覚書を締結したのは、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクと、東京海上日動、損害保険ジャパン、あいおいニッセイ同和損保(MS&ADインシュアランスグループホールディングス)、 三井住友海上火災(同)、日本生命保険、日立製作所の9社。今後、他社の参加も呼び掛けていく。

 

 プラットフォーム設立の趣旨は、「運用機関とその投資先である上場企業をシームレスにつなぎ、ESG に関する相互理解・情報開示等を促進する」点にある。今夏に、デジタルプラットフォームのベータ版サービスの提供主体となる一般社団法人を設立する。秋に開始するベータ版サービスでは、プラットフォームのユーザビリティの検証や各種機能の強化を図り、将来の正式なサービス立ち上げに向けて共同で検討作業を進めていく、としている。

 

 また、金融機関、投資家等が上場企業の投資に際してESG要因の評価をするうえで必要となるESGデータの共通化、透明化を促進するインフラ機能を整備することで、国内外の機関投資家や発行体などさ まざまなステークホルダーによる効果的・効率的なコミュニケーションを促進し、ESG投資やESG市場をさらに拡大し、持続可能な社会の発展に貢献していく、としている。

 

 ESG投資は世界全体で約35.3兆㌦(約3900兆円)に達するとのデータがある。だが同データ自体、共通の情報開示に基づくものではないというあいまいさがある。現状は、国や市場によって開示されるESG情報には差があり、グローバルベースでの開示ルールや評価手法に関する公的基準は未だ共通的には整備されていないのが現実だ。

 

 一方で、ISSBの基準化がスケジュール化される中で、気候変動関連に加えて、生物多様性等の分野でも、企業は情報開示を求められる流れが強まっている。このため、ESG・サステナビリティ分野での情報開示を求められる企業と、それらの企業に投資する金融界の両方で、開示手法の共通化ニーズが増大している。

 

 金融機関自体も、投融資先の気候情報であるfinanced emissions等の開示をグローバルに求められる展開になっているが、上場企業によって開示データが異なることから、情報収集や企業間の横比較等が困難な状況に直面している。

 

  各社が目指す共通プラットフォームは、情報の共通化等を図ることで、運用側、企業側の双方のESG情報開示での相互理解を深めることに資することが期待される。ESG取り組みへの評価が高まることで、ESG投資の拡大や市場の多様化にもつながることが見込まれる。

https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/230525_01.pdf