商工中金。満期時に金利とは別に排出削減に活用できる「J-クレジット」の受け取り権が付く企業向けの「J-クレジット預金」を年初から取り扱い開始へ。100億円分募集(RIEF)
2024-12-26 23:30:04
(写真は、クレジットプロバイダーのイトーキのサイトから引用)
商工組合中央金庫は年明けの1月6日から、企業向けに、満期時に国が認証する「J―クレジット」の配分を受けとることができる「J―クレジット預金」の取り扱いを始める。同預金には通常の大口定期預金と同水準の金利が付与されるが、それに加えて元本5000万円当たりで5㌧分のクレジットを受け取る権利を得ることが出来る。現在のクレジット価格で換算すると、約3万円となるが、価格よりも確実にクレジットを確保できる点が魅力になりそうだ。
同金庫によると、同預金は期限限定商品で、2025年2月25日までの期間に総額100億円を募集する。預入金額は1社につき5000万円以上10億円以内とする。預金は25年3月10日からの1年間の定期預金となる。金利は通常の大口定期預金と同水準(25日時点で0.125%)に設定する。
預金した企業は預金元本の5000万円単位で5㌧分のクレジットを受け取る権利を得る。上限10億円だから、仮に、上限一杯まで預金をした企業の場合、100㌧分のクレジット(現行価格で約60万円分)を満期日に受け取ることが出来る。当該の企業は受け取ったクレジットを自社の排出量にカウントできる。
現状は企業の排出量に対する削減規制は導入されていないため、同預金に入る企業は、手にするクレジットを、あくまでの自主的な排出削減計画に活用することになる。ただ、政府はGXリーグの排出量取引制度の第2フェーズにおいて、取引を義務化する方向で現在作業中であり、順調に政策が進展すると、2027年度から特定の対象産業を中心にして排出削減が義務付けられる見通しだ。その際、排出削減の手段の一つとしてJ-クレジットの活用が認められる予定だ。
今回、商工中金が同預金に付与するクレジットは、同機関と連携するJ-クレジットプロバイダーのイトーキが調達して提供する。同社はネット上でJ-クレジットのオンライン取引を提供している。提供するクレジットは、現在、東京証券取引所のカーボンクレジット取引市場でも売買されているJ-クレジット(森林)を活用する。東証での同クレジットの現行の価格(基準価格)は、㌧当たり6000円に設定されている。